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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】
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「さっきのような展開になることを見越すと、3番手になった時に【9】が【デスナンバー】だと困ることになる。つまり、もし【ナンバーキーパー】が根津達のチームにいたら、完全に手詰まりになっていた。そんなリスク――僕なら背負いたくないね」
坂崎の言葉に伊勢崎が続く。もしも自分が【ナンバーキーパー】だったら、どの順番になろうとも自分が確実に助かる手段を用意しておくはず。その考えに沿うのであれば、まず【9】などというリスキーな数字を【デスナンバー】には選ばないだろう。
「こっ、こういう風には考えられないかな? 言わば確率の問題というか、仮に【9】を【デスナンバー】に指定したって、1番手か2番手になれれば、問題なく【アントニオ】で切り抜けることができる。言い換えれば3分の2で【デスナンバー】を踏まずに済むことが確定するんだ」
「確率的に考えれば【デスナンバー】を踏まずに済む確率のほうが高いわけだから、あえて【ナンバーキーパー】は【9】を【デスナンバー】にしたと? 委員長、馬鹿も休み休み言って欲しいね。いくら確率的にそうだとしても、3分の1は決して確率的に低い数字じゃないよ」
少しばかりズレた視点から生み出された小宮山の推論を、伊勢崎がばっさりと切り捨てる。確かに小宮山の言う通り、3番手になる確率よりも、1番手か2番手になる確率のほうが高い。ただ、伊勢崎の言う通り、3分の1は確率的に低い数字ではない。1対1のじゃんけんで勝つ確率は3分の1、負ける確率も3分の1、あいこになる確率も3分の1。じゃんけんの結果は勝ち、負け、あいこのいずれかであり、どの結果になるのも3分の1である。つまり、3分の1とはこの程度。いつでも簡単に引けてしまう確率なのである。
「あの――変なことを言っていたら止めて欲しいんだけど、こうは考えられないかな? 今回のアベンジャーは……【ナンバーキーパー】は、別に生きたいとは思っていなかった。最悪、自分が死んでも構わないと思っていた。もし、そんな人が【ナンバーキーパー】だったら、どのナンバーが【デスナンバー】だったとしても、おかしくはないと思うの」
教室内で飛び交う議論に、これまで混じったことのない色が混じった。それが原因だったのかは定かではないが、急にぽっかりと間が空いてしまったかのごとく静寂が訪れた。
坂崎の言葉に伊勢崎が続く。もしも自分が【ナンバーキーパー】だったら、どの順番になろうとも自分が確実に助かる手段を用意しておくはず。その考えに沿うのであれば、まず【9】などというリスキーな数字を【デスナンバー】には選ばないだろう。
「こっ、こういう風には考えられないかな? 言わば確率の問題というか、仮に【9】を【デスナンバー】に指定したって、1番手か2番手になれれば、問題なく【アントニオ】で切り抜けることができる。言い換えれば3分の2で【デスナンバー】を踏まずに済むことが確定するんだ」
「確率的に考えれば【デスナンバー】を踏まずに済む確率のほうが高いわけだから、あえて【ナンバーキーパー】は【9】を【デスナンバー】にしたと? 委員長、馬鹿も休み休み言って欲しいね。いくら確率的にそうだとしても、3分の1は決して確率的に低い数字じゃないよ」
少しばかりズレた視点から生み出された小宮山の推論を、伊勢崎がばっさりと切り捨てる。確かに小宮山の言う通り、3番手になる確率よりも、1番手か2番手になる確率のほうが高い。ただ、伊勢崎の言う通り、3分の1は確率的に低い数字ではない。1対1のじゃんけんで勝つ確率は3分の1、負ける確率も3分の1、あいこになる確率も3分の1。じゃんけんの結果は勝ち、負け、あいこのいずれかであり、どの結果になるのも3分の1である。つまり、3分の1とはこの程度。いつでも簡単に引けてしまう確率なのである。
「あの――変なことを言っていたら止めて欲しいんだけど、こうは考えられないかな? 今回のアベンジャーは……【ナンバーキーパー】は、別に生きたいとは思っていなかった。最悪、自分が死んでも構わないと思っていた。もし、そんな人が【ナンバーキーパー】だったら、どのナンバーが【デスナンバー】だったとしても、おかしくはないと思うの」
教室内で飛び交う議論に、これまで混じったことのない色が混じった。それが原因だったのかは定かではないが、急にぽっかりと間が空いてしまったかのごとく静寂が訪れた。
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