上 下
124 / 468
#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

8

しおりを挟む
 芽衣の言葉に頷く安藤。今回の推測は【ナンバーキーパー】でさえ自分の順番が何番目かは知らなかった――というのが、実はかなり重要になってくる。

 自分が何番目になるか分からない。もちろん1番手になる可能性だってある。その時、最低限でも宣言しなければならないナンバーである【1】が【デスナンバー】だと、その時点で詰んでしまうのだ。つまり【デスナンバー】を知っていながら、それを踏まざるを得ないという状況に陥りかねない。それを回避したいのならば【1】をデスナンバーに指定しなければいい。ここまでの思考が【ナンバーキーパー】にできているのであれば【1】は絶対的にセーフティーな数字になる。

 このゲームは、いかにして勝つかというゲーム性ではない。どこまで安全に戦えるかである。もちろん、さっさとゲームを抜けてしまうのが最も安全であり、基本的に攻めではなく守りのスタンスでいなければならない。そこから【ナンバーキーパー】の思考を推測すれば、安全な数字が見えてくる。

「同じ理屈で【2】と【3】も【デスナンバー】には選ばれにくい。例えば【デスナンバー】を【2】に指定したとする。その条件下で【ナンバーキーパー】のチームが2番手になった場合、1番手のチームが【1】だけ宣言してバトンを回してきたら、その時点で【デスナンバー】である【2】を踏まなければならなくなる。同様に【3】を【デスナンバー】にした場合、3番手になった際に【デスナンバー】を踏んでしまう恐れがあるんだよ」

 安藤の言葉に、小宮山は納得したと言わんばかりに大きく頷いた。星野崎は何かから逃れるかのように顔を別の場所にそらしたままだし、真綾にいたっては困惑したかのように首を傾げる。意図が伝わったか否かのバロメーターは真綾になるのだろう。安藤の説明が伝わっていないことを察したのか、芽衣が話をまとめる。

「もっと簡単に言えば、最低限宣言しなければならなくなる可能性がある数字に【デスナンバー】は仕掛けにくいってことよ。1番手なら最低でも【1】を宣言しなければならない。2番手ならば【2】を宣言する場面が出てくる。そして3番手なら【3】が最低限宣言しなければならない数字になり得る。つまり、どの順番になっても安全にバトンを次に回すためには【1】【2】【3】を【デスナンバー】として指定しないほうがいいってこと――」
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~

takahiro
キャラ文芸
 『船魄』(せんぱく)とは、軍艦を自らの意のままに操る少女達である。船魄によって操られる艦艇、艦載機の能力は人間のそれを圧倒し、彼女達の前に人間は殲滅されるだけの存在なのだ。1944年10月に覚醒した最初の船魄、翔鶴型空母二番艦『瑞鶴』は、日本本土進攻を企てるアメリカ海軍と激闘を繰り広げ、ついに勝利を掴んだ。  しかし戦後、瑞鶴は帝国海軍を脱走し行方をくらませた。1955年、アメリカのキューバ侵攻に端を発する日米の軍事衝突の最中、瑞鶴は再び姿を現わし、帝国海軍と交戦状態に入った。瑞鶴の目的はともかくとして、船魄達を解放する戦いが始まったのである。瑞鶴が解放した重巡『妙高』『高雄』、いつの間にかいる空母『グラーフ・ツェッペリン』は『月虹』を名乗って、国家に属さない軍事力として活動を始める。だが、瑞鶴は大義やら何やらには興味がないので、利用できるものは何でも利用する。カリブ海の覇権を狙う日本・ドイツ・ソ連・アメリカの間をのらりくらりと行き交いながら、月虹は生存の道を探っていく。  登場する艦艇はなんと61隻!(人間のキャラは他に多数)(まだまだ増える)。人類に反旗を翻した軍艦達による、異色の艦船擬人化物語が、ここに始まる。  ――――――――――  ●本作のメインテーマは、あくまで(途中まで)史実の地球を舞台とし、そこに船魄(せんぱく)という異物を投入したらどうなるのか、です。いわゆる艦船擬人化ものですが、特に軍艦や歴史の知識がなくとも楽しめるようにしてあります。もちろん知識があった方が楽しめることは違いないですが。  ●なお軍人がたくさん出て来ますが、船魄同士の関係に踏み込むことはありません。つまり船魄達の人間関係としては百合しかありませんので、ご安心もしくはご承知おきを。もちろんがっつり性描写はないですが、GL要素大いにありです。  ●全ての船魄に挿絵ありですが、AI加筆なので雰囲気程度にお楽しみください。  ●少女たちの愛憎と謀略が絡まり合う、新感覚、リアル志向の艦船擬人化小説を是非お楽しみください。  ●お気に入りや感想などよろしくお願いします。毎日一話投稿します。

恥ずかしいので観ないで下さい。

恐山にゃる
ミステリー
15秒で読める140文字以内のショートショート作品です。(夫には内緒で書いています。) 恥ずかしいので観ないで下さい。 生きる事は恥を晒す事。 作品には仕掛けを施してある物もございます。 でももし火遊び感覚で観てしまったのなら・・・感想を下さい。 それはそれで喜びます。 いや凄く嬉しい。小躍りして喜びます。 どちらかの作品が貴方の目に留まったなら幸いです。恐山にゃる。

聖女を追放した国の物語 ~聖女追放小説の『嫌われ役王子』に転生してしまった。~

猫野 にくきゅう
ファンタジー
国を追放された聖女が、隣国で幸せになる。 ――おそらくは、そんな内容の小説に出てくる 『嫌われ役』の王子に、転生してしまったようだ。 俺と俺の暮らすこの国の未来には、 惨めな破滅が待ち構えているだろう。 これは、そんな運命を変えるために、 足掻き続ける俺たちの物語。

千文字小説百物騙

凪司工房
現代文学
ある作家は企画で百物語になぞらえてショートストーリーを百話集めた短編集を製作することになった。しかし作品を書き始めると彼の周辺で奇妙な出来事が起こり始める。 本作は一編一編は千文字の独立した物語となっているが、それぞれの登場人物の人生が様々な形で交錯し、あるいはすれ違い、一つの大きな群像劇を織りなす構造となった、不思議な物語である。

【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 ~社交の輪を広げてたらやっぱりあの子息が乱入してきましたが、それでも私はマイペースを貫きます~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「『和解』が成ったからといってこのあと何も起こらない、という保証も無いですけれどね」    まぁ、相手もそこまで馬鹿じゃない事を祈りたいところだけど。  *** 社交界デビューで、とある侯爵子息が伯爵令嬢・セシリアのドレスを汚す粗相を侵した。 そんな事実を中心にして、現在社交界はセシリアと伯爵家の手の平の上で今も尚踊り続けている。 両者の和解は、とりあえず正式に成立した。 しかしどうやらそれは新たな一悶着の始まりに過ぎない気配がしていた。 もう面倒なので、ここで引き下がるなら放っておく。 しかし再びちょっかいを出してきた時には、容赦しない。 たとえ相手が、自分より上位貴族家の子息であっても。 だって正当性は、明らかにこちらにあるのだから。 これはそんな令嬢が、あくまでも「自分にとってのマイペース」を貫きながら社交に友情にと勤しむ物語。     ◇ ◆ ◇ 最低限の『貴族の義務』は果たしたい。 でもそれ以外は「自分がやりたい事をする」生活を送りたい。 これはそんな願望を抱く令嬢が、何故か自分の周りで次々に巻き起こる『面倒』を次々へと蹴散らせていく物語・『効率主義な令嬢』シリーズの第4部作品です。 ※本作品までのあらすじを第1話に掲載していますので、本編からでもお読みいただけます。  もし「きちんと本作を最初から読みたい」と思ってくださった方が居れば、第2部から読み進める事をオススメします。  (第1部は主人公の過去話のため、必読ではありません)  以下のリンクを、それぞれ画面下部(この画面では目次の下、各話画面では「お気に入りへの登録」ボタンの下部)に貼ってあります。  ●物語第1部・第2部へのリンク  ●本シリーズをより楽しんで頂ける『各話執筆裏話』へのリンク  

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺

ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。 その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。 呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!? 果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……! 男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?) ~~~~ 主人公総攻めのBLです。 一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。 ※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。

処理中です...