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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】1

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【1】

 姫乙があらかたの説明を終えると、まるで待っていたかのごとくアンジョリーヌ達が入ってきた。ただ、初めて彼女達を見た時のような極端な嫌悪感みたいなものはなかった。前回はマスコミの根性丸出し――と勝手に思い込んでしまっていた節があったが、今回は違う角度で彼女達を見ることができた。他のマスコミ達がルール無用で安藤達に群がろうとしていたのを一喝したアンジョリーヌの姿は、それこそ仕事に誇りと矜持きょうじを抱いているのだと実感させてくれた。彼女達は仕事でやっているだけで、本心は別のほうを向いているような気がする。

「今回はですね、特別に趣向が異なるということでして――」

 カメラに向かって事情を説明するアンジョリーヌだが、ところどころで言葉を詰まらせそうになる。安藤達自身が姫乙のわけの分からない理論に振り回され、その結果として【糾弾ホームルーム】の中で【レクリエーション】を行うことになったのだ。その経緯を視聴者に向かって説明するのは、いくら現場慣れしたアンジョリーヌでも難しいであろう。

 兵隊達は相も変わらずに小銃を抱えている。ただし、今回はその小銃が大活躍することになるのだろう。小銃が火を吹かずに済むのが一番ではあるが、現実的には厳しいと思われる。

 姫乙から説明を受けた時のまま、3つのチームに分かれたままの2年4組。このチーム同士で潰し合うとすると、一度に6人――もしくは5人が死ぬことになる。まぁ、姫乙はあくまでもであると言っていたし、後になったら個人戦にスイッチするつもりなのかもしれない。

 途中で言葉を詰まらせそうになるも、さすがはプロといったところか。当たり障りのない言葉を選びながら、またあまり複雑にならないように事情を噛み砕いてお茶の間に届けたアンジョリーヌ。オブラートに包んで政府の方針という言葉を頻繁に使っていたが、それはすなわち姫乙のわがままということを伝えたかったのであろう。

 前回の【糾弾ホームルーム】が放送された際――大日本帝国政府の自分勝手なやり方に、ネットは憤慨した。ニュースか何かで見たのだが、国営テレビへの批判も多かったとか。けれども、無条件で大日本帝国政府のやり方を褒めたたえる声もあったらしい。

 この日本には、いまだに古い考え方が根付いている。特に高齢者になればなるほど、その考えは強くなるのであるが、何よりも天皇陛下のことを第一とし、異常なほどの愛国心を抱いている国民が多く存在するのだ。
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