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査定4 なぜウグイスは鳴かなかったのか【エピローグ】

査定4 なぜウグイスは鳴かなかったのか【エピローグ】1

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 今年の夏は例年に比べると、色々な思い出が残った夏になったと思う。一番の要因は、一里之を筆頭ととして、遊びに誘ってくれる友人が増えたところにあるだろう。海にも行ったし、近所の祭りにも行った。花火もした。この、わずか半年くらいの間に、随分と自分の周りが変化したような気がする。その辺りのことは、なかば強引であっても遊びに誘ってくれる一里之達に感謝しなければならないだろう。

 もう夏休みも終わりに差し掛かっている。学校に行きたくて仕方がないというわけではないが、夏休み中の課題はもう終わらせてしまっているし、店を開けてはいるものの開店休業状態。本を読みながら店番をするのも、そろそろ飽きてきたというのが正直なところだ。ホームページを覗く人はいるのだろうが、あれ以来、正式な依頼らしきものはゼロである。やはり――竹藤が物好きだったということなのだろうか。

 そろそろお昼の時間だ。また、ソーメンでも茹でて簡単に済ませるか――もう、何日連続になるか分からないが、夏場のソーメンというものは中々に飽きない。いや、それ以外のものが重たく感じるのだ。俗にいう夏バテである。

 昼食の準備をするために立ち上がった時のことだった。しばらくぶりに店のガラス戸が開き、久方ぶりのお客が姿を現した。もっとも、一見さんではなく、常連様であるが。しかも、おそらくは買い取りの依頼をしにきたわけではない常連様だ。

「ね、猫屋敷――。助けてくれ」

 先ほど、バイクの音が聞こえたから、もしかしたらと思っていたが、どうやら思っていた通りだったらしい。魂が半分ほど抜けかかっているような顔色をした一里之が登場である。

「どうしたんですか? 今日はお1人みたいですし」

 一里之と愛は常にセットというイメージがあるゆえに、一里之だけで店にやってくるというのは妙な感じだ。なんだか愛に申しわけないような気さえする。

「実はね、ずっと前から気づいていたんです。でも、気づかない振りをしていたんですねぇ。怖いなぁ、怖いなぁ――なんて思いながら、気がついたら夏休もあと少し。そう、まだ手をつけていないんですねぇ――課題に」

 どこぞの某怪談師のような口調で、課題に全くてをつけていないことを白状する一里之。彼にとっては本当にあった怖い話なのかもしれないが、ちゃんと計画的に課題に取り組まないのが悪い。

「一里之君、課題というものは自分の力でやることに意義があると私は思うのですが」
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