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査定4 なぜウグイスは鳴かなかったのか【解答編】

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「たった今、竹藤様にも確認が取れました。やはり、このフロッピーディスクに残されていた事件は――竹藤様の創作だったようです」

 ホームページを開設して以降の記念すべき最初の依頼。そのフロッピーディスクに込められたいわくは、どうやら偽りのいわくだったらしい。

「しかし、どうしてわざわざ事件をでっち上げてまで、依頼をしてきたのでしょうか?」

 班目の言葉に首を傾げる。それはこちらが聞きたいくらいである。どうやって店のことを知ったのかは分からないが――まぁ、おそらくはホームページがきっかけなのだろうが、いわくを買い取る店に、わざわざでっち上げのいわくを査定させて何をしたいのであろうか。それでも、こうして一度は引き受けてしまった査定だ。しっかりと答えは出さねばならないだろう。

「とにかく、先に仕事を終わらせてしまいましょう。この度のいわくは――正直、査定するまでもなく価値のないものなのですが、しっかりと手数料はいただかないと」

 千早はそう言いながらメールを竹藤へと返す。

 ――なぜ、このようなことをされたのでしょうか? 可能であればお答えいただきたいと思います。もちろん、答えたくないと言うのであれば結構。しばらく待ってレスポンスがなければ、査定の結果を通知させていただき、それをもって査定も終了とさせていただきます。

 竹藤が何を考え、わざわざフロッピーディスクなどという面倒な媒体を用いて査定を依頼してきたのか。はるか昔に発生した事件という設定にリアリティーを持たせようとした結果なのであろうが、今の時代にフロッピーディスクを探すだけでも面倒であろうし、その中に偽りのデータを残すともなると、なおさらに手間である。それこそ、班目に用意してもらったようなパソコンが必要になるだろうし。

「竹藤さんはなんとおっしゃっていますか?」

 竹藤と千早のやり取りは、千早のスマートフォン上のみで展開されており、当然ながら班目は蚊帳の外である。千早はスマートフォンに視線を落とすが、しかしまだ竹藤からのレスポンスはない。

「反応がありません。仕方がないので、査定の結果を先にお伝えしましょう」

 またスマートフォンにメールを打ち込むだけでは、班目が置いてきぼりにされてしまうから、今度はメールを打つのと並行して班目に査定結果を通達することにした。依頼主は班目ではないが、どうにもメールだけで査定結果を伝えるというのは味気がない。
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