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査定4 なぜウグイスは鳴かなかったのか【解答編】
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「この事件。班目様がおっしゃる通り、良くも悪くも出来が良いんです。フロッピーディスクに残された情報から、飯山さんがろうあ者であることに気づくことができれば、自然と答えが出るような事件になっている。ただ、どうにも引っかかるのは、飯山さんの文章です」
ここからはきっと、班目に加えて竹藤も相手にしなければならないだろう。同時進行の謎解きも、いよいよクライマックスである。竹藤はすぐに返信をするタイプではないらしく、メールを送った千早のスマートフォンは沈黙したままだ。
「飯山さんの文章――【オノマトペ】をまるで含まないがゆえに堅苦しい印象が強いわけですが……。これの文章のどこに引っかかりが?」
スマートフォンのディスプレイに注意を払いつつ、千早は班目の疑問に答える。
「まるで【オノマトペ】が使われていないのが気になるのです。確かに、ろうあ者の方は音が聞こえません。しかし、知識として吸収することはできます。それに、音をそのまま表現する擬声語はともかく、擬態語に関しては理解できるはずです。例えば【あたふた】とか【さっさと】や【きっぱり】なども擬態語ですので【オノマトペ】の仲間になります。これは【あたふた】というものが、慌てふためくことの表現であると知っていれば、表現として使えますし理解できますよね? しかし、飯山さんの文章には擬声語はもちろんのこと、擬態語もまるで使用されていない。まるで【オノマトペ】を一切合切使わないように意識して書かれているような文章なんです」
千早が疑問を抱いたのは、擬声語はともかく、擬態語までも使われていない――ある意味で完璧な文章。まるで意識して【オノマトペ】を使わないようにしている印象が強い。
「確かに、ろうあ者の方でも【オノマトペ】を感覚的に捉えることはできるでしょうし、擬態語に関しては、それが【オノマトペ】であると私達にも分からないようなものもありますねぇ。音として理解しているというより、言葉として理解している単語も多いと思います。つまり、飯山さんの耳が聞こえないとしても、擬声語と擬態語が全く使われていない文章は不自然だと?」
班目が欲しかった答えをくれるのであるが、しかし竹藤からは全くレスポンスがない。仕方がないので、もう一通メールを送ることにした。
――竹藤様。はっきりとさせておきましょう。ご依頼頂いたフロッピーディスクの査定ですが、フロッピーディスクに残されていたような事件……実際に起きたものなのでしょうか?
ここからはきっと、班目に加えて竹藤も相手にしなければならないだろう。同時進行の謎解きも、いよいよクライマックスである。竹藤はすぐに返信をするタイプではないらしく、メールを送った千早のスマートフォンは沈黙したままだ。
「飯山さんの文章――【オノマトペ】をまるで含まないがゆえに堅苦しい印象が強いわけですが……。これの文章のどこに引っかかりが?」
スマートフォンのディスプレイに注意を払いつつ、千早は班目の疑問に答える。
「まるで【オノマトペ】が使われていないのが気になるのです。確かに、ろうあ者の方は音が聞こえません。しかし、知識として吸収することはできます。それに、音をそのまま表現する擬声語はともかく、擬態語に関しては理解できるはずです。例えば【あたふた】とか【さっさと】や【きっぱり】なども擬態語ですので【オノマトペ】の仲間になります。これは【あたふた】というものが、慌てふためくことの表現であると知っていれば、表現として使えますし理解できますよね? しかし、飯山さんの文章には擬声語はもちろんのこと、擬態語もまるで使用されていない。まるで【オノマトペ】を一切合切使わないように意識して書かれているような文章なんです」
千早が疑問を抱いたのは、擬声語はともかく、擬態語までも使われていない――ある意味で完璧な文章。まるで意識して【オノマトペ】を使わないようにしている印象が強い。
「確かに、ろうあ者の方でも【オノマトペ】を感覚的に捉えることはできるでしょうし、擬態語に関しては、それが【オノマトペ】であると私達にも分からないようなものもありますねぇ。音として理解しているというより、言葉として理解している単語も多いと思います。つまり、飯山さんの耳が聞こえないとしても、擬声語と擬態語が全く使われていない文章は不自然だと?」
班目が欲しかった答えをくれるのであるが、しかし竹藤からは全くレスポンスがない。仕方がないので、もう一通メールを送ることにした。
――竹藤様。はっきりとさせておきましょう。ご依頼頂いたフロッピーディスクの査定ですが、フロッピーディスクに残されていたような事件……実際に起きたものなのでしょうか?
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