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査定4 なぜウグイスは鳴かなかったのか【問題編】
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竹藤をおいて、私と田戸は台所から出る。大家の部屋は、洗濯場を挟んだ向こう側にあった。玄関にもっとも近い部屋だ。
大家はとにかく横柄で自分勝手な性格だった。まず、自分の好きなようにルールを作りたがる。例えば、特別な理由がない限り夜間の外出は禁止である。一度、夜中に煙草をきらしてしまい、近くのコンビニまで行こうとしたことがあった。すり足で廊下を歩けば大家にもばれないと思ったのであるが、玄関にたどり着く前に大家が部屋から顔を出し、物凄い剣幕で怒り出した。私は慌てて頭を下げると、部屋へと逃げ帰ったものだ。
竹藤と田戸も同じような目に遭っていたようで、その後の下宿人同士の会議のすえに、夜の外出は玄関を経由せず、窓から外に出てしまうという大胆な結論にいたった。だから、この下宿先に住んでいる人間は、自分の部屋に外出用の靴を置いていた。
大家はとにかく音に敏感のようだ。テレビの音がうるさいという理由で、いきなり部屋に入ってきて頭を叩かれたことがあった。足音がうるさいという理由で部屋に殴り込んでくることもあった。同じ屋根の下で生活している以上、価値観の違いをはじめとして、どうにもならない点というのが必ず出てくる。それを互いに譲歩してこその共同生活だと思うのだが、大家は私達のことを安い金で住まわせてやっている奉公人だとでも思っているのだろうか。
下宿人には食事の世話から離れの掃除までやらせるくせに、自分は何もせずに私達を見下し、働きもせずに3食昼寝つきの優雅な生活。ここで下宿している以上、緩やかに大家に搾取され続けるような気がしてはいるのだが、しかし他にアパートを探して出て行くような余裕はない。それは竹藤と田戸も同じようだった。
大家の部屋の前で、なぜだかアイコンタクトを交わす私と田戸。自然と田戸がドアの前へと立ち、拳を作って大家の部屋のドアを叩いた。私のほうを見て首を横に振る田戸。もう一度、大家の部屋のドアを叩いてみるが、反応がないようだった。
田戸がドアノブに手をかけ、やや躊躇った様子でそれを回す。半開きにしたドアに首を突っ込んだ田戸は、慌てた様子でドアを開け放った。廊下で様子を見ているだけだった私にはなにがなんだか分からず、情報を求めるかのように開け放たれたドアから部屋の中へと視線を投げ込んだ。部屋は乱雑にものが散らばっており、土足で歩き回ったような足跡が無数につけられていた。部屋の中心では大家が仰向けに倒れており、田戸が肩を揺さぶっているが、まるで反応がない。私のほうへと振り返ると「救急車を呼んでくる! ここは任せた!」と、田戸は私の脇を駆け抜けた。
大家はとにかく横柄で自分勝手な性格だった。まず、自分の好きなようにルールを作りたがる。例えば、特別な理由がない限り夜間の外出は禁止である。一度、夜中に煙草をきらしてしまい、近くのコンビニまで行こうとしたことがあった。すり足で廊下を歩けば大家にもばれないと思ったのであるが、玄関にたどり着く前に大家が部屋から顔を出し、物凄い剣幕で怒り出した。私は慌てて頭を下げると、部屋へと逃げ帰ったものだ。
竹藤と田戸も同じような目に遭っていたようで、その後の下宿人同士の会議のすえに、夜の外出は玄関を経由せず、窓から外に出てしまうという大胆な結論にいたった。だから、この下宿先に住んでいる人間は、自分の部屋に外出用の靴を置いていた。
大家はとにかく音に敏感のようだ。テレビの音がうるさいという理由で、いきなり部屋に入ってきて頭を叩かれたことがあった。足音がうるさいという理由で部屋に殴り込んでくることもあった。同じ屋根の下で生活している以上、価値観の違いをはじめとして、どうにもならない点というのが必ず出てくる。それを互いに譲歩してこその共同生活だと思うのだが、大家は私達のことを安い金で住まわせてやっている奉公人だとでも思っているのだろうか。
下宿人には食事の世話から離れの掃除までやらせるくせに、自分は何もせずに私達を見下し、働きもせずに3食昼寝つきの優雅な生活。ここで下宿している以上、緩やかに大家に搾取され続けるような気がしてはいるのだが、しかし他にアパートを探して出て行くような余裕はない。それは竹藤と田戸も同じようだった。
大家の部屋の前で、なぜだかアイコンタクトを交わす私と田戸。自然と田戸がドアの前へと立ち、拳を作って大家の部屋のドアを叩いた。私のほうを見て首を横に振る田戸。もう一度、大家の部屋のドアを叩いてみるが、反応がないようだった。
田戸がドアノブに手をかけ、やや躊躇った様子でそれを回す。半開きにしたドアに首を突っ込んだ田戸は、慌てた様子でドアを開け放った。廊下で様子を見ているだけだった私にはなにがなんだか分からず、情報を求めるかのように開け放たれたドアから部屋の中へと視線を投げ込んだ。部屋は乱雑にものが散らばっており、土足で歩き回ったような足跡が無数につけられていた。部屋の中心では大家が仰向けに倒れており、田戸が肩を揺さぶっているが、まるで反応がない。私のほうへと振り返ると「救急車を呼んでくる! ここは任せた!」と、田戸は私の脇を駆け抜けた。
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