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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【エピローグ】
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愛がアドレスをタップすると、しばらくの読み込み時間があった後に画面が切り替わる。それを見て、班目は一瞬なにがなんだか分からなくなった。
ピンクの背景に絵らしきものが表示されており、その下に小さく【猫屋敷古物商店】と書かれている。ホームページのトップページらしいデザインであるが、そんなことよりも絵のほうが目を引いた。
「あはははははっ! なんだよ、この小学生が描いたみたいな絵!」
それを見て一里之が笑い出す。つられて笑い出しそうになりながらも、班目はようやくその絵の意味を理解した。犬小屋のようなものから半身を出している黒い物体は、おそらく猫なのであろう。しかし、猫と判別できるのか描いた本人が不安になったに違いない。吹き出しが付け足されており、犬小屋らしきものから半身を出した黒い物体が「にゃー」と鳴いている。
「ちょっと純平。笑いすぎだって……」
愛の言葉など無視して、とうとう腹を抱える一里之。絵の意味と、描いた本人が付け足したであろう吹き出し。それに一里之の笑い声が相まって、つられて笑い出してしまう班目。
「な、なるほど。屋敷から猫が顔を出しているから、猫屋敷ってことですか――。それにしても、センスが抜群ですねぇ」
「だろう? いや、最高に面白いわ! インパクト抜群だし、ここまで絵心がないと逆に凄ぇわ!」
相乗効果により笑いが止まらない班目と一里之。視界の片隅で千早がすっと立ち上がり、カウンターから出てくるのが見えた。しばらくして班目と一里之の前へとやってきた千早の手には、なにやら筆のようなものが握られていた。
「こちら、かつて天才と呼ばれた画家が使っていた筆です。芸術面では非の打ち所がない完璧な方でしたが、たったひとつコンプレックスがあり、周囲の目を大変気にしていたそうです」
どうやら店にある商品を持ってきたようだが、一体なんのつもりなのだろうか。いまだにうつむいたままの千早の背後で、愛がぽつりと漏らした。
「このトップページの絵……千早ちゃんが描いたんだってば」
その言葉に、一里之が「はぁ?」と首を傾げる。もちろん、その事実を知った班目も我に返った。
「結局、死の間際までその画家の方はコンプレックを気にされていたそうです。その怨念が所持品だった筆に乗り移ったのでしょうね。以来、人のことを馬鹿にする者の前で、この筆の毛を引き抜くと、その者に呪いがかかるようになった――と言われています。理屈は分かりませんが、画家の方が気にしていたコンプレックス……スキップができなくなるという呪いがかかるそうです」
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「あはははははっ! なんだよ、この小学生が描いたみたいな絵!」
それを見て一里之が笑い出す。つられて笑い出しそうになりながらも、班目はようやくその絵の意味を理解した。犬小屋のようなものから半身を出している黒い物体は、おそらく猫なのであろう。しかし、猫と判別できるのか描いた本人が不安になったに違いない。吹き出しが付け足されており、犬小屋らしきものから半身を出した黒い物体が「にゃー」と鳴いている。
「ちょっと純平。笑いすぎだって……」
愛の言葉など無視して、とうとう腹を抱える一里之。絵の意味と、描いた本人が付け足したであろう吹き出し。それに一里之の笑い声が相まって、つられて笑い出してしまう班目。
「な、なるほど。屋敷から猫が顔を出しているから、猫屋敷ってことですか――。それにしても、センスが抜群ですねぇ」
「だろう? いや、最高に面白いわ! インパクト抜群だし、ここまで絵心がないと逆に凄ぇわ!」
相乗効果により笑いが止まらない班目と一里之。視界の片隅で千早がすっと立ち上がり、カウンターから出てくるのが見えた。しばらくして班目と一里之の前へとやってきた千早の手には、なにやら筆のようなものが握られていた。
「こちら、かつて天才と呼ばれた画家が使っていた筆です。芸術面では非の打ち所がない完璧な方でしたが、たったひとつコンプレックスがあり、周囲の目を大変気にしていたそうです」
どうやら店にある商品を持ってきたようだが、一体なんのつもりなのだろうか。いまだにうつむいたままの千早の背後で、愛がぽつりと漏らした。
「このトップページの絵……千早ちゃんが描いたんだってば」
その言葉に、一里之が「はぁ?」と首を傾げる。もちろん、その事実を知った班目も我に返った。
「結局、死の間際までその画家の方はコンプレックを気にされていたそうです。その怨念が所持品だった筆に乗り移ったのでしょうね。以来、人のことを馬鹿にする者の前で、この筆の毛を引き抜くと、その者に呪いがかかるようになった――と言われています。理屈は分かりませんが、画家の方が気にしていたコンプレックス……スキップができなくなるという呪いがかかるそうです」
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