猫屋敷古物商店の事件台帳

鬼霧宗作

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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【解答編】

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「でもよ猫屋敷。犯人はどうやってカネモトを殺したんだ? 1階で博士が見送って、最上階でマソンヌが生存確認をして、また1階へ戻るのを見届けたんだろ? これが本当だったとしたら、誰にもカネモトは殺せなかったことになるしよ」

 班目の疑問を代弁するかのごとく、またしても鋭いところに切り込む一里之。千早が主張する通り、犯人がラクレスの中にいるのだとすれば、果たして犯人はどんな方法でカネモトを殺したのか。俗な言い方にはなるが、なにかしらのアリバイトリックでもなければ、ラクレスの4人に犯行は不可能だ。

「犯人はどのような手段でカネモトさんを殺害したのか――。そうですね。先にそっちのほうをはっきりとさせたほうがいいかもしれませんね」

 千早はそう言うと、エレベーターのほうを見てから人差し指を立てた。

「ひとつめのポイントはエレベーターの最大積載量になります。先ほど作業員の方に聞きましたが、おばけエレベーターの最大積載量は400キロだそうです。しかし、そうなると奇妙なことが起きてしまうんです。もっと具体的に言うのであれば、動画内でのカネモトさんの発言と矛盾が生じます」

 今度はスマートフォンを取り出し、操作をすると画面を班目達のほうへと見えるように向けてくる千早。どうやら、ラクレスが所属している事務所のホームページのようだ。ラクレスメンバーのプロフィールが顔写真と一緒に羅列されていた。

「ここにメンバーの体重が掲載されています。カネモトさん、71キロ。博士さん、68キロ。ジュンヤさん、74キロ。キー坊さん、126キロ。マソンヌさん、55キロ。さて、この5人の体重を合計すると――394キロです。これを踏まえて、生配信された動画を確認して欲しいんです」

 生配信された動画は、千早に買い取りを依頼したハンディービデオカメラの中に入っているが、当然ながらネットにもアップされている。わざわざハンディービデオカメラを取り出す必要などなく、自然とみんなが自身のスマートフォンを取り出した。班目も例外なくスマートフォンで動画を検索。電波は入るものの、決して良好というわけではないため、動画の読み込みに時間がかかる。だが、いち早く動画を検索した一里之のスマートフォンから流れたカネモトの一言で、動画を再生する必要はなくなった。

 ――5人でエレベーターに乗ったら、ブザーが鳴るんだぜ? どう考えてもキャパが小さ過ぎるだろ。
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