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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【問題編】
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班目、愛、一里之、千早。当たり前のように飛び交う事件の話に、とうとう大海の疑問符がいっぱいになったのだろう。大海が「あの、ちょっといいかい?」と、申しわけなさそうに手を挙げた。
「あの、そもそもなんで事件のことなんか調べてるわけ?」
大海は詳しい事情を知らない。一里之が要件だけを拾い上げて話を取り付けたのだから当然である。協力してもらう以上、こちらの事情というものも話しておかねばならないだろう。
「正義、つい少し前に雛撫高校で起きた動物殺傷事件のこと――覚えてるよな?」
千早が事情を口にしようとしたが、それをさえぎルような形で、しかも得意げに一里之が口を開いた。
「あ、うん……もちろん。警備員のおっさんが犯人だったんだろ? 一時期、ネットでも祭りになってたし、愛さんが巻き込まれてどうのこうのって純平も言ってたからね。まぁ、この辺りの人間であの事件を知らない人はいないさ」
ネットで騒がれた雛撫高校の事件。当然ながら、地元の人間は知っていて当然のような事件である。特に狭い田舎のコミニュティーというものは、はるか昔から――それこそ、ネットというツールがなくとも、情報の共有ができていた。それが息苦しいと感じる人もいるのだろうが、人との繋がりを第一とする田舎だからこそ築かれた情報共有システムというものが確かにある。
「実はあの事件、解決したの――猫屋敷なんだぜ」
事件の概要や、犯人が捕まったとの情報は当たり前のように流れていても、誰が解決したかまでは伝わっていない。捕まった――という言葉から連想するに、ごく普通に警察が事件を解決したと考えるのが妥当であろう。いわくつきの品の値踏みをするために千早は事件に踏み込んだのであって、事件を解決しようと思って事件に挑んだわけではない。あの事件に関しては、少々私的な感情が混じってはしまったが、あくまでも古物商としての仕事が前提にあった。事件を解決することが千早の仕事ではない。
「えっ? マジで?」
驚く大海に対して、やはり身近で千早を見てきたという自負があるのだろう。今度は愛が誇らしげに言った。
「私にも疑いがかけられていたけど、助けてもらったんだよねぇ。まっ、名探偵ってやつ?」
まったくもって名探偵ではないが、この状況から古物商の話を持ち出すのは面倒であるし、余計に混乱してしまうだろう。ならばいっそのこと、とりあえずそういうことにしておいたほうがいい。色々と思案したすえ、千早は小さく頷いた。
「あの、そもそもなんで事件のことなんか調べてるわけ?」
大海は詳しい事情を知らない。一里之が要件だけを拾い上げて話を取り付けたのだから当然である。協力してもらう以上、こちらの事情というものも話しておかねばならないだろう。
「正義、つい少し前に雛撫高校で起きた動物殺傷事件のこと――覚えてるよな?」
千早が事情を口にしようとしたが、それをさえぎルような形で、しかも得意げに一里之が口を開いた。
「あ、うん……もちろん。警備員のおっさんが犯人だったんだろ? 一時期、ネットでも祭りになってたし、愛さんが巻き込まれてどうのこうのって純平も言ってたからね。まぁ、この辺りの人間であの事件を知らない人はいないさ」
ネットで騒がれた雛撫高校の事件。当然ながら、地元の人間は知っていて当然のような事件である。特に狭い田舎のコミニュティーというものは、はるか昔から――それこそ、ネットというツールがなくとも、情報の共有ができていた。それが息苦しいと感じる人もいるのだろうが、人との繋がりを第一とする田舎だからこそ築かれた情報共有システムというものが確かにある。
「実はあの事件、解決したの――猫屋敷なんだぜ」
事件の概要や、犯人が捕まったとの情報は当たり前のように流れていても、誰が解決したかまでは伝わっていない。捕まった――という言葉から連想するに、ごく普通に警察が事件を解決したと考えるのが妥当であろう。いわくつきの品の値踏みをするために千早は事件に踏み込んだのであって、事件を解決しようと思って事件に挑んだわけではない。あの事件に関しては、少々私的な感情が混じってはしまったが、あくまでも古物商としての仕事が前提にあった。事件を解決することが千早の仕事ではない。
「えっ? マジで?」
驚く大海に対して、やはり身近で千早を見てきたという自負があるのだろう。今度は愛が誇らしげに言った。
「私にも疑いがかけられていたけど、助けてもらったんだよねぇ。まっ、名探偵ってやつ?」
まったくもって名探偵ではないが、この状況から古物商の話を持ち出すのは面倒であるし、余計に混乱してしまうだろう。ならばいっそのこと、とりあえずそういうことにしておいたほうがいい。色々と思案したすえ、千早は小さく頷いた。
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