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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【問題編】
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「あれですね。店主さんってモテるんですねぇ。彼――鼻の下が伸びっぱなしでしたもの」
班目がぽつりと漏らした言葉は聞かなかったことにして、千早はローファーを脱いで部屋へと上がった。
リビングはさすがの広さであり、キッチンはキッチンでオープンキッチンという形で、しっかりした設備が施されている。愛と一里之はリビングのソファーに腰をかけて、おそらく大海のものだと思われるノートパソコンを立ち上げていた。キッチンでは大海が飲み物の準備をしている。なんとなく部屋の隅っこのほうに行ったら落ち着くような気がするのだが、それを堪えて、ガラステーブルをソファーで囲んだ空間――すなわち、一里之達のいるほうへと向かった。できれば部屋の隅っこで体育座りでもして待っていたいのであるが、人の家でそんなことはできない。
「何をしているんですか?」
後からやってきた班目が、ノートパソコンを覗き込んだ。それに対して一里之はキーボードを叩く。
「もしかしたら、ラクレスのチャンネルに新しい動画が投稿されていないかなって思って。事件の後、ラクレスの行方が分かってないんだろ? だったら、調べてみても損はないと思ってさ」
千早もノートパソコンを覗いてみる。画面には有名な動画投稿サイトが映し出されており、そこから一里之がマウスを操作してクリックすると、派手な髪の色をした5人組のページへと飛んだ。
「これがラクレスの投稿チャンネルなんだけど――駄目だな。更新もないみたいだし、事件のライブ配信も削除されてる」
千早とて全く動画サイトを使ったことがないというわけではない。猫の動画を見てなごむのが主であるが、お気に入りの猫が出てくる動画チャンネルには、ひっそりと【いいね】をしたりもする。もちろん、こっそりとチャンネル登録もする。投稿するサイドのことは分からないが、しかし視聴するサイドという意味であれば、構造と使いかたは理解しているつもりだ。
「それにしても――改めて、随分と間抜けなことをやっている方々ですよねぇ」
ラクレスのチャンネルには、これまで彼らが投稿したであろう動画のサムネイルが表示されている。
――個人経営の喫茶店に行って、店にあるメニュー頼めるだけ頼んでみた。
――心頭滅却すれば火もまた涼しらしいから、ガソリンに火を点けてみた。
――みなさんのおかげでそこそこ広告収入が入ったので、それを資金に市長選に立候補してみた。
班目がぽつりと漏らした言葉は聞かなかったことにして、千早はローファーを脱いで部屋へと上がった。
リビングはさすがの広さであり、キッチンはキッチンでオープンキッチンという形で、しっかりした設備が施されている。愛と一里之はリビングのソファーに腰をかけて、おそらく大海のものだと思われるノートパソコンを立ち上げていた。キッチンでは大海が飲み物の準備をしている。なんとなく部屋の隅っこのほうに行ったら落ち着くような気がするのだが、それを堪えて、ガラステーブルをソファーで囲んだ空間――すなわち、一里之達のいるほうへと向かった。できれば部屋の隅っこで体育座りでもして待っていたいのであるが、人の家でそんなことはできない。
「何をしているんですか?」
後からやってきた班目が、ノートパソコンを覗き込んだ。それに対して一里之はキーボードを叩く。
「もしかしたら、ラクレスのチャンネルに新しい動画が投稿されていないかなって思って。事件の後、ラクレスの行方が分かってないんだろ? だったら、調べてみても損はないと思ってさ」
千早もノートパソコンを覗いてみる。画面には有名な動画投稿サイトが映し出されており、そこから一里之がマウスを操作してクリックすると、派手な髪の色をした5人組のページへと飛んだ。
「これがラクレスの投稿チャンネルなんだけど――駄目だな。更新もないみたいだし、事件のライブ配信も削除されてる」
千早とて全く動画サイトを使ったことがないというわけではない。猫の動画を見てなごむのが主であるが、お気に入りの猫が出てくる動画チャンネルには、ひっそりと【いいね】をしたりもする。もちろん、こっそりとチャンネル登録もする。投稿するサイドのことは分からないが、しかし視聴するサイドという意味であれば、構造と使いかたは理解しているつもりだ。
「それにしても――改めて、随分と間抜けなことをやっている方々ですよねぇ」
ラクレスのチャンネルには、これまで彼らが投稿したであろう動画のサムネイルが表示されている。
――個人経営の喫茶店に行って、店にあるメニュー頼めるだけ頼んでみた。
――心頭滅却すれば火もまた涼しらしいから、ガソリンに火を点けてみた。
――みなさんのおかげでそこそこ広告収入が入ったので、それを資金に市長選に立候補してみた。
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