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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【問題編】
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一里之を先頭にして進む。一里之は、廊下のドン詰まりの前で立ち止まった。どうやら大海の部屋は最上階の一番奥らしい。非常階段のすぐそばであり、下手をするとエレベーターを使うより、非常階段を使ったほうが便利のように思えた。まぁ、のぼるのはきついだろうが。
非常階段のほうも構造を確かめておきたい。そう考えた千早が扉のノブへと手を伸ばすが、しかし鍵がかかっているようだった。千早を見ていた班目が口を開く。
「ここの非常階段。もう随分とメンテナンスをしていないらしくて、危ないからという理由で使用禁止にしているそうです。完全に法に触れそうな話ですが、住人が極端に少ないうえに、それを含めて家賃が値引きされているらしくて――。管理会社の話だと、事件当時も鍵をかけていたそうです」
非常階段は使えない。となると、使用できたのはエレベーターホールのそばにある階段だけだったということになるだろう。他にルートがあればもしや――と考えたのであるが、事件が起きたのはエレベーターホール付近に限定されるようだ。この非常階段が使えれば、他の可能性も見出せたのかもしれないが、残念なことに重要な材料を潰されてしまった気分だ。
「で、猫屋敷。そろそろ正義のやつを呼んでいいか?」
大海の部屋の前で、インターフォンを押す直前の格好のまま待ってくれていた一里之。千早が頷くと、おもむろにインターフォンを押す。オートロックなどという小洒落たセキュリティーもないおばけマンションに、インターフォンの安っぽい音が響いた。それを待っていたかのごとく、中からバタバタと音がして、勢いよく部屋の扉が開いた。
「純平! よく来てくれたね!」
一里之を出迎える大海の表情は満面の笑みであった。それを見た千早は、少しばかり尻込みしてしまう。一里之の時もそうであったが、クラスメイトの男子に学校以外の場所で会うというのは、なんとなく恥ずかしいというか、気まずさがある。
「あぁ、いきなりで悪いな。猫屋敷がどうしてもお前に話を聞きたいらしくて」
もう、ちらちらと大海が横目でこちらを伺っているのは分かっていたが、一里之が千早の名前を出した途端、満面の笑みが一里之のほうから千早のほうへと向けられる。悪気はなかったのだが、思わず愛の後ろへと隠れてしまった。そこで我に返った千早は、愛の後ろから顔を出し、大海に向かって「ど、どうも――」と呟いた。自分の頬が紅潮していることが嫌でも分かる。
「やぁ、猫屋敷さん。いらっしゃい。それに、愛さんも。純平が迷惑かけてない?」
一里之と仲が良さそうな大海。どうやら愛とも面識があるようだ。まぁ、友人の彼女であるから、面識くらいはあるだろう。
非常階段のほうも構造を確かめておきたい。そう考えた千早が扉のノブへと手を伸ばすが、しかし鍵がかかっているようだった。千早を見ていた班目が口を開く。
「ここの非常階段。もう随分とメンテナンスをしていないらしくて、危ないからという理由で使用禁止にしているそうです。完全に法に触れそうな話ですが、住人が極端に少ないうえに、それを含めて家賃が値引きされているらしくて――。管理会社の話だと、事件当時も鍵をかけていたそうです」
非常階段は使えない。となると、使用できたのはエレベーターホールのそばにある階段だけだったということになるだろう。他にルートがあればもしや――と考えたのであるが、事件が起きたのはエレベーターホール付近に限定されるようだ。この非常階段が使えれば、他の可能性も見出せたのかもしれないが、残念なことに重要な材料を潰されてしまった気分だ。
「で、猫屋敷。そろそろ正義のやつを呼んでいいか?」
大海の部屋の前で、インターフォンを押す直前の格好のまま待ってくれていた一里之。千早が頷くと、おもむろにインターフォンを押す。オートロックなどという小洒落たセキュリティーもないおばけマンションに、インターフォンの安っぽい音が響いた。それを待っていたかのごとく、中からバタバタと音がして、勢いよく部屋の扉が開いた。
「純平! よく来てくれたね!」
一里之を出迎える大海の表情は満面の笑みであった。それを見た千早は、少しばかり尻込みしてしまう。一里之の時もそうであったが、クラスメイトの男子に学校以外の場所で会うというのは、なんとなく恥ずかしいというか、気まずさがある。
「あぁ、いきなりで悪いな。猫屋敷がどうしてもお前に話を聞きたいらしくて」
もう、ちらちらと大海が横目でこちらを伺っているのは分かっていたが、一里之が千早の名前を出した途端、満面の笑みが一里之のほうから千早のほうへと向けられる。悪気はなかったのだが、思わず愛の後ろへと隠れてしまった。そこで我に返った千早は、愛の後ろから顔を出し、大海に向かって「ど、どうも――」と呟いた。自分の頬が紅潮していることが嫌でも分かる。
「やぁ、猫屋敷さん。いらっしゃい。それに、愛さんも。純平が迷惑かけてない?」
一里之と仲が良さそうな大海。どうやら愛とも面識があるようだ。まぁ、友人の彼女であるから、面識くらいはあるだろう。
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