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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【プロローグ】
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扉が閉まるところまでを映すと、カメラは階数表示をアップにする。1階から2階へ、2階から3階へとランプが移動していくが、体感的にも遅いように感じられる。ようやくランプが最上階の9階に点灯する。おそらく、最上階に待機しているマソンヌとやらと生存確認をしているのであろう。
しばらく9階に点灯したままだったランプであるが、ふいにそれが点滅をすると、今度は9階から8階へ――といった具合にエレベーターが降りてくる。これまでと同じペースで階数表示が7階から6階へと切り替わった辺りから察するに、他のメンバーが待機している7階と5階は、本当に通り過ぎるだけらしい。
階数表示のランプが2階に点灯すると同時に、カメラはこれまでの構図に戻り、エレベーターの全景を映し出す。もうしばらくもしないうちにエレベーターは到着し、もしも人喰いエレベーターなんてものが存在するのであれば、中にいるカネモトは亡き者となっているかもしれない。もっとも、そんな非現実的なことはきっと起こらないのであろう。エレベーターが人を喰うなんて話は、あまりにも突飛すぎる。
「さてさて、カネモトは無事なのだろうか――」
カメラを構える博士の言葉が合図だったかのように、1階へと到着したエレベーターの扉が開く。すると、エレベーターから上半身を投げ出すような形で、カネモトが仰向けにエレベーターホールへと倒れ込んだ。きっと、エレベーターの扉に寄りかかるようにして座っていたのであろう。そして、合わせ鏡のエレベーターの床には、血飛沫らしきものが散らばっていた。
――無言。博士は言葉を発することができずにいるようだった。エレベーターの扉が閉まろうとするが、しかしカネモトが上半身をエレベーターの外に投げ出しているものだから、それが引っかかって再び扉が開く。閉じようとしては開く、閉じようとしては開く。その動作は、まるでカネモトの体を咀嚼しているように見えた。
「お、おい。カネモト――」
カメラが上半身を投げ出したカネモトへと近づく。それとほぼ同時に博士の叫び声が上がった。カネモトの頭は変形しており、元より赤かった髪を鮮血がさらに濃い赤へと染めている。驚いたかのように目を見開いたその姿は、誰が見たって生きているようには見えなかった。
助けを求めに向かったのか、カメラは階段を駆け上る映像をしばらく映すと、そこでぷつりと途切れる――。
これは、つい先日に起きたばかりの事件であり、警察は殺人事件として犯人の行方を追っている。
しばらく9階に点灯したままだったランプであるが、ふいにそれが点滅をすると、今度は9階から8階へ――といった具合にエレベーターが降りてくる。これまでと同じペースで階数表示が7階から6階へと切り替わった辺りから察するに、他のメンバーが待機している7階と5階は、本当に通り過ぎるだけらしい。
階数表示のランプが2階に点灯すると同時に、カメラはこれまでの構図に戻り、エレベーターの全景を映し出す。もうしばらくもしないうちにエレベーターは到着し、もしも人喰いエレベーターなんてものが存在するのであれば、中にいるカネモトは亡き者となっているかもしれない。もっとも、そんな非現実的なことはきっと起こらないのであろう。エレベーターが人を喰うなんて話は、あまりにも突飛すぎる。
「さてさて、カネモトは無事なのだろうか――」
カメラを構える博士の言葉が合図だったかのように、1階へと到着したエレベーターの扉が開く。すると、エレベーターから上半身を投げ出すような形で、カネモトが仰向けにエレベーターホールへと倒れ込んだ。きっと、エレベーターの扉に寄りかかるようにして座っていたのであろう。そして、合わせ鏡のエレベーターの床には、血飛沫らしきものが散らばっていた。
――無言。博士は言葉を発することができずにいるようだった。エレベーターの扉が閉まろうとするが、しかしカネモトが上半身をエレベーターの外に投げ出しているものだから、それが引っかかって再び扉が開く。閉じようとしては開く、閉じようとしては開く。その動作は、まるでカネモトの体を咀嚼しているように見えた。
「お、おい。カネモト――」
カメラが上半身を投げ出したカネモトへと近づく。それとほぼ同時に博士の叫び声が上がった。カネモトの頭は変形しており、元より赤かった髪を鮮血がさらに濃い赤へと染めている。驚いたかのように目を見開いたその姿は、誰が見たって生きているようには見えなかった。
助けを求めに向かったのか、カメラは階段を駆け上る映像をしばらく映すと、そこでぷつりと途切れる――。
これは、つい先日に起きたばかりの事件であり、警察は殺人事件として犯人の行方を追っている。
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