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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【プロローグ】
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「さてぇ! このエレベーターなんですけどぉ! 実は人喰いエレベーターなんて呼ばれてるんですよ! これはね、何年か前の話なんですが――」
合わせ鏡になっているエレベーターが閉じる。それをバックに赤髪のカネモトがカメラ目線で続けた。その内容は、実に使い古された怪談話。
ある時、マンションに住む一人暮らしの女性が行方不明になった。捜索願いが出され、警察が捜索にあたったものの、女性は発見されずじまい。捜索も打ち切られようとした暑い夏の夜。エレベーターから異臭がするとの苦情があり、管理者がエレベーターの点検を業者へと依頼。業者が点検したところ、エレベーターの天井の上から腐敗した女性の遺体が発見された。警察の調べで、それは失踪した女性であることが確認されたとのこと。
「うわぁ! 超怖い――」
本当に銀髪の演技がわざとらしい。台本があるにしても、棒読みというのはいかがなものだろうか。一応、こうして視聴数を集めて広告収入を得ているのであれば、演者としてそれなりのスキルが求められるだろうに。5人組だからなんとか他の人間がフォローできているのであって、きっと銀髪が一人で放送をしても、視聴者はつかないことだろう。
「それ以来、このエレベーターは人喰いエレベーターと呼ばれることになったそうな……」
カネモトが声を潜めると、背の低い緑髪が「いや、その話……エレベーターの天井の上に死体があっただけで、人を喰ったってわけじゃなくね?」と突っ込む。それに対して「細かいことはどうでもいいんだよ!」と赤髪のカネモト。
「ということでぇ、今回の企画を発表しますぞ!」
青髪の巨体がカメラの前を占領し、彼らの中でのお約束のやり取りが繰り広げられる。それが終わると、誰かが「せーの」と小さく声を上げ、5人が声を揃えた。
「実際に人喰いエレベーターに乗ってみたー!」
まるで小学生のように両手を叩いて喜ぶ5人組。子どもの心を忘れない大人――といえば聞こえは良いのかもしれない。しかし、子どもの心を忘れない大人であれば、勝手にマンションに上がり込んで、時間も考えずにライブ放送をしたりはしない。その非常識さからして、許可なんと取っていないであろうし、彼らに関してはただ大人になれない子どもである。
「さてぇ、今回はこの中から代表を一人選出して、そいつに人喰いエレベーターへと乗ってもらう。1階から最上階へ、そして最上階から1階へと乗ってもらって、実際に喰われないか試してみまーす」
合わせ鏡になっているエレベーターが閉じる。それをバックに赤髪のカネモトがカメラ目線で続けた。その内容は、実に使い古された怪談話。
ある時、マンションに住む一人暮らしの女性が行方不明になった。捜索願いが出され、警察が捜索にあたったものの、女性は発見されずじまい。捜索も打ち切られようとした暑い夏の夜。エレベーターから異臭がするとの苦情があり、管理者がエレベーターの点検を業者へと依頼。業者が点検したところ、エレベーターの天井の上から腐敗した女性の遺体が発見された。警察の調べで、それは失踪した女性であることが確認されたとのこと。
「うわぁ! 超怖い――」
本当に銀髪の演技がわざとらしい。台本があるにしても、棒読みというのはいかがなものだろうか。一応、こうして視聴数を集めて広告収入を得ているのであれば、演者としてそれなりのスキルが求められるだろうに。5人組だからなんとか他の人間がフォローできているのであって、きっと銀髪が一人で放送をしても、視聴者はつかないことだろう。
「それ以来、このエレベーターは人喰いエレベーターと呼ばれることになったそうな……」
カネモトが声を潜めると、背の低い緑髪が「いや、その話……エレベーターの天井の上に死体があっただけで、人を喰ったってわけじゃなくね?」と突っ込む。それに対して「細かいことはどうでもいいんだよ!」と赤髪のカネモト。
「ということでぇ、今回の企画を発表しますぞ!」
青髪の巨体がカメラの前を占領し、彼らの中でのお約束のやり取りが繰り広げられる。それが終わると、誰かが「せーの」と小さく声を上げ、5人が声を揃えた。
「実際に人喰いエレベーターに乗ってみたー!」
まるで小学生のように両手を叩いて喜ぶ5人組。子どもの心を忘れない大人――といえば聞こえは良いのかもしれない。しかし、子どもの心を忘れない大人であれば、勝手にマンションに上がり込んで、時間も考えずにライブ放送をしたりはしない。その非常識さからして、許可なんと取っていないであろうし、彼らに関してはただ大人になれない子どもである。
「さてぇ、今回はこの中から代表を一人選出して、そいつに人喰いエレベーターへと乗ってもらう。1階から最上階へ、そして最上階から1階へと乗ってもらって、実際に喰われないか試してみまーす」
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