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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【プロローグ】
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完全なる俗な放送。入居者がほとんどおらず、それゆえにおばけマンションなんて呼ばれ始めてしまった賃貸物件を舞台に、ただ視聴数を稼ぎたいがために行われる悪ふざけだ。このマンションにだって持ち主はいるだろうし、誰が見ても彼らがやっているのは不法侵入なのだが。
「でも、それだけじゃあ、ここがおばけマンションなんて呼ばれるようにならない。しっかりとした理由があるのだ」
青髪の男の前に割って入った金髪の男は、その髪色に似合わず黒縁の眼鏡をかけており、まるで学者ぶったような喋り方をする。
「おぉ、そいつは博識な博士に教えてもらうとしよう。さぁ、視聴者のみなさんも一緒に――」
赤髪のカネモトが手でメガホンを作ると、金髪の黒縁眼鏡を除く全員が、同じように手でメガホンを作り、時間も時間だというのに大声を上げる。
「教えてー! 物知り博士ー!」
これもまた彼らのお決まりかもしれないのだが、他人の持ち物である物件に勝手に入り込み、しかも決して常識的とはいえないであろう時間帯に大声を上げるなんて、もう迷惑行為でしかない。しかも、この行為によって彼らに広告収入が入るというのだから、世の中おかしな話である。
「仕方ない! 説明してやろう! 実はここのエレベーター……他の建築物ではまず有り得ないであろう、斬新な内装になっているのだ!」
金髪の黒縁眼鏡――博士と呼ばれているであろう人物がエレベーターの呼び出しボタンを押す。カメラがエレベーターの階数表示をアップで映す。このマンションは全9階建てのようであり、エレベーターは最上階から1階まで徐々に降りてきて、そしてゆっくりとエレベーターの扉がスライドする。その途端に、照らし合わせていたかのような大爆笑が起きた。
「あははははははっ! なんだこれ? 不吉過ぎるだろ!」
どうにも演技臭いのは銀髪の男か。名乗りを上げた時にジュンヤと名乗っていたが、どうにも素人臭いというか、慣れている様子のカネモトに比べると、どうしてもリアクションが演技に見えてしまう。
「そう、この通り――全面ガラス張りの合わせ鏡になっているのだよ!」
笑いを堪えつつ説明する博士の言葉に「繋がっちゃう。霊界とかと絶対繋がっちゃうよ――」と誰かの声が入った。みんな腹を抱えて笑っていたから、誰の声なのかまでは分からない。
到着したエレベーターは、床と天井を除く全てがガラス張りという、確かに斬新なデザインだった。そこに乗り込むだけで乗り物酔いしそうだ。
「でも、それだけじゃあ、ここがおばけマンションなんて呼ばれるようにならない。しっかりとした理由があるのだ」
青髪の男の前に割って入った金髪の男は、その髪色に似合わず黒縁の眼鏡をかけており、まるで学者ぶったような喋り方をする。
「おぉ、そいつは博識な博士に教えてもらうとしよう。さぁ、視聴者のみなさんも一緒に――」
赤髪のカネモトが手でメガホンを作ると、金髪の黒縁眼鏡を除く全員が、同じように手でメガホンを作り、時間も時間だというのに大声を上げる。
「教えてー! 物知り博士ー!」
これもまた彼らのお決まりかもしれないのだが、他人の持ち物である物件に勝手に入り込み、しかも決して常識的とはいえないであろう時間帯に大声を上げるなんて、もう迷惑行為でしかない。しかも、この行為によって彼らに広告収入が入るというのだから、世の中おかしな話である。
「仕方ない! 説明してやろう! 実はここのエレベーター……他の建築物ではまず有り得ないであろう、斬新な内装になっているのだ!」
金髪の黒縁眼鏡――博士と呼ばれているであろう人物がエレベーターの呼び出しボタンを押す。カメラがエレベーターの階数表示をアップで映す。このマンションは全9階建てのようであり、エレベーターは最上階から1階まで徐々に降りてきて、そしてゆっくりとエレベーターの扉がスライドする。その途端に、照らし合わせていたかのような大爆笑が起きた。
「あははははははっ! なんだこれ? 不吉過ぎるだろ!」
どうにも演技臭いのは銀髪の男か。名乗りを上げた時にジュンヤと名乗っていたが、どうにも素人臭いというか、慣れている様子のカネモトに比べると、どうしてもリアクションが演技に見えてしまう。
「そう、この通り――全面ガラス張りの合わせ鏡になっているのだよ!」
笑いを堪えつつ説明する博士の言葉に「繋がっちゃう。霊界とかと絶対繋がっちゃうよ――」と誰かの声が入った。みんな腹を抱えて笑っていたから、誰の声なのかまでは分からない。
到着したエレベーターは、床と天井を除く全てがガラス張りという、確かに斬新なデザインだった。そこに乗り込むだけで乗り物酔いしそうだ。
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