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査定2 惨殺アイちゃん参上【エピローグ】
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「いやいや、でもこいつは都合が良い。あの時、あの場におられた方が全員いますからねぇ。あれからの【惨殺アイちゃん】の報告をしに来るにはベストなタイミングだったかもしれません」
一里之と愛が報告に訪れてくれた日に、たまたま班目も報告に訪れてくれるとは、なんたる奇遇であろうか。もっとも、事件のその後の報告をお願いしたことは一度もなく、班目についてはほぼ自主的に報告にやって来る。まぁ、厚意でやってくれているのだし、それを拒む理由もない。
「あー、それは私も気になるかも。なんか【惨殺アイちゃん】がどうなったのか――って話だけ、まだ出てこないんだよねぇ」
班目の言葉に食いついたのは愛だった。おそらく【惨殺アイちゃん】自身のその後については、ある程度学校側が情報規制をかけていると思われる。多くの生徒をまとめる学校としては正しい判断なのかもしれないが、当事者である愛には知る権利がある。そう言った意味で考えると、こうして愛達と班目が鉢合わせたのは偶然ではなかったのかもしれない。
千早は店の奥に向かうと、新しい碗を持ってカウンターに戻る。班目に濃いお茶を入れてやると、やはり豆大福と一緒に出してやった。カウンターの上はちょっとしたお茶会だ。
「班目様、よろしければどうぞ――」
お茶をすすめると「気を遣わずともいいのに」と言いながらも、真っ先に豆大福へと手を伸ばす班目。
「それで【惨殺アイちゃん】のその後なんですが……風味すごくないですか? これ、ソイのフレーバーが半端なくないですか?」
まるで【惨殺アイちゃん】の風味がすごいみたいな話の繋がりになったしまったが、一口かじった豆大福の感想が混じってしまったのであろう。自分が作ったわけではないが、こうも褒められるとなんだか嬉しい。
「喜んでいただけたようでなによりですが、その――お話を続けていただけると幸いです」
千早が言うと、班目は惜しむように残りの豆大福を口の中に放り込み、じっくりと味わうかのこどく咀嚼した後に、お茶をぐいっと飲んで大きな吐息を落とす。その余韻にしばらく浸ってから、スーツの胸ポケットからハンカチを取り出し、口元を拭った。
「いや、失礼。豆大福が予想以上にアレでしたので。それで【惨殺アイちゃん】のその後のことなんですけどね、まず結論から言ってしまいますと、やはり器物損壊罪でしょっ引くのが精一杯でした。また、身元がはっきりしていますし、証拠隠滅のおそれもないことから勾留請求もしていません。まぁ、簡単に言ってしまえば、もう【惨殺アイちゃん】は勾留されておらず、在宅事件扱いになっているということです」
一里之と愛が報告に訪れてくれた日に、たまたま班目も報告に訪れてくれるとは、なんたる奇遇であろうか。もっとも、事件のその後の報告をお願いしたことは一度もなく、班目についてはほぼ自主的に報告にやって来る。まぁ、厚意でやってくれているのだし、それを拒む理由もない。
「あー、それは私も気になるかも。なんか【惨殺アイちゃん】がどうなったのか――って話だけ、まだ出てこないんだよねぇ」
班目の言葉に食いついたのは愛だった。おそらく【惨殺アイちゃん】自身のその後については、ある程度学校側が情報規制をかけていると思われる。多くの生徒をまとめる学校としては正しい判断なのかもしれないが、当事者である愛には知る権利がある。そう言った意味で考えると、こうして愛達と班目が鉢合わせたのは偶然ではなかったのかもしれない。
千早は店の奥に向かうと、新しい碗を持ってカウンターに戻る。班目に濃いお茶を入れてやると、やはり豆大福と一緒に出してやった。カウンターの上はちょっとしたお茶会だ。
「班目様、よろしければどうぞ――」
お茶をすすめると「気を遣わずともいいのに」と言いながらも、真っ先に豆大福へと手を伸ばす班目。
「それで【惨殺アイちゃん】のその後なんですが……風味すごくないですか? これ、ソイのフレーバーが半端なくないですか?」
まるで【惨殺アイちゃん】の風味がすごいみたいな話の繋がりになったしまったが、一口かじった豆大福の感想が混じってしまったのであろう。自分が作ったわけではないが、こうも褒められるとなんだか嬉しい。
「喜んでいただけたようでなによりですが、その――お話を続けていただけると幸いです」
千早が言うと、班目は惜しむように残りの豆大福を口の中に放り込み、じっくりと味わうかのこどく咀嚼した後に、お茶をぐいっと飲んで大きな吐息を落とす。その余韻にしばらく浸ってから、スーツの胸ポケットからハンカチを取り出し、口元を拭った。
「いや、失礼。豆大福が予想以上にアレでしたので。それで【惨殺アイちゃん】のその後のことなんですけどね、まず結論から言ってしまいますと、やはり器物損壊罪でしょっ引くのが精一杯でした。また、身元がはっきりしていますし、証拠隠滅のおそれもないことから勾留請求もしていません。まぁ、簡単に言ってしまえば、もう【惨殺アイちゃん】は勾留されておらず、在宅事件扱いになっているということです」
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