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査定2 惨殺アイちゃん参上【解答編】

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 蓋を開けてみれば、実に簡単な結末だったのである。それこそ、他の警備員に彼の名前を尋ねれば解決してしまうほど簡単なことだったようだ。片方の河合の苗字の読みが【かわい】であるため――というか、一般的な読み方としてまず当てはまるのが【かわい】であるため、千早達は目の前にいる【河合あさお】なる人物のことを、素直に【かわいあさお】だと思い込んでいた。しかし、彼の本当の名前は……名前の読みは【かわあいあさお】だったのである。これならば、純正で【アイ】が名前に含まれることになる。千早は全てを分かった上で、彼のことを【かわいあさお】と、あえて致命的な呼び方をしていたのだろう。

「もう一人の河合さんから、こちらの住所を伺う前にしっかりと確認させていただきました。あなたは間違いなく【かわあいあさお】さんであり【かわいあさお】さんではない。ただ、同僚が呼び分けるにしても【かわい】と【かわあい】では紛らわしいため、自然と両名を下の名前で呼ぶようになったそうですね。ということで、あなたが【かわあいあさお】さんであり【惨殺アイちゃん】としての条件を満たしていることが分かりましたね。後、わざわざ言及するつもりはありませんが、タイムカードの序列問題も解決です」

 タイムカードの並びに関しては、確かに解決である。同じ【河合】という漢字であっても【かわあい】と【かわい】では【かわあい】のほうが先にくる。だからこそ、警備員のタイムカードの並びは間違っていなかったことになる。むしろ、千早はタイムカードの並び方をきっかけにして、この事実にたどり着いたのだろうか。だとすれば、掛け値なしで凄いといえよう。しかし、相手も一筋縄ではいかないようだ。

「それで? そうだったとして、どうして【惨殺アイちゃん】の正体を決めつけることができる? これでようやく容疑者の一人になっただけだろう?」

 この程度では相手もビクともしない。確かに彼の言う通り、千早が証明したのは彼が【惨殺アイちゃん】である条件を満たしているということだけ。言わば、元より条件を満たしていた愛達と同じ場所へと引っ張り上げただけなのだ。容疑者の一人としてカウントはできるようになったが、しかし彼が【惨殺アイちゃん】であるという決定打を放ったわけではない。

「なんだか勘違いなさっているみたいですから、この際はっきり言っておきます。あなたが【惨殺アイちゃん】であるという根拠は揃っていると言ったはずです。もちろん、これだけで終わるわけがありません。とりあえず、最後まで黙って聞いていただけませんか?」
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