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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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「それでは早速で申しわけありませんが、気になる点をいくつか伺わせていただきます」

 下校時間までどれだけの余裕があるのか分からないが、まだやることが割に残っている。本の整理を手伝ったこともあり、少しだけ時間を意識しながら美穂に事件のことを問うていく千早。

 愛と落ち合い、ウサギ小屋での惨劇を目撃し、警備員と一緒に現場へと戻ってきたという美穂。話を聞いている時点では、愛からの証言と相違する部分はないようだ。SNSの投稿に関しても美穂は認めたし、今となっては後悔しているという声も聞くことができた。事件が起きた時点で、すでに学校ではタヌキの生首事件が噂として出回っていたため、ウサギ小屋での惨劇と書き残されたメッセージに恐怖を感じ、思わず投稿してしまったとのこと。美穂の投稿がなければ、ここまで騒ぎにはならなかったのかもしれないが、しかし騒ぎが大きくならなければ、学校側が表沙汰になる前に封殺するばかりで、事件も自ずと闇に葬られていたことだろう。

「なるほど――」

 一通りの話を聞いてみたものの、すでに愛から仕入れていた情報に似たようなものがほとんどで、これといった決定打となるようなものは見つからない。それと同時に美穂が【惨殺アイちゃん】ではないと決定づける証言も出てこなかった。

「あの、犯人――分かりそう?」

 愛に問われた千早は、苦笑いを浮かべて「まだなんとも言えません」としか答えることができなかった。残念ながら、これまでの情報に美穂の情報をプラスして考えても、残念ながら犯人を決定づけることはできなかった。

「なんだかお役に立てなかったみたいで」

 美穂はそう言うと溜め息を漏らす。千早は「そんなことはありません。ありがとうございました」と、ほんの少しだけ美穂に気を遣った。小さい頃に比べれば本音と建て前の使い分けはかなり上手くなったと思う。

「じゃあ、相崎さん。わざわざありがとうね。また何か分かったら連絡するから」

 話の切れ目を狙ったかのごとく、愛がそのまま話を切り上げようとする。壁掛け時計に目をやると、警備員交代の時間がすぐそこまで迫っていた。

「こっちこそ、委員会の仕事を手伝ってくれてありがとう。連絡、待ってるから――」

 美穂はそう言って力なく手を振り、愛はそれに振り返すと図書室を後にすべく歩き出す。千早は美穂にもう一度ぺこりと頭を下げると愛の後に続いた。こんな時でも歩幅の調整だけは忘れない。
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