猫屋敷古物商店の事件台帳

鬼霧宗作

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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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「なら、これからどうする? 少し早いけど相崎さんとの待ち合わせ時間も近いし、そっちのほうに向かおうか」

 愛はそう言ってかすかな笑みを浮かべるが。それがどうにもカラ元気のようにしか見えなかった。どれだけ強くあろうと振る舞っても、本質的なところというのは、自然と見えてきてしまうものである。こうして彼女が同行してくれているわけだが、しかし実際のところは1秒たりとも学校にはいたくないのかもしれない。

「ちなみに、一里之君には連絡してもらえましたか?」

 待ってもらっている間に、さらに学校の外で待っている一里之に連絡するようにお願いしていたわけだが、彼はまだ待機を続けてくれているのだろうか。勝手な思い込みで悪いのだが、彼にそこまでの堪え性があるとは思えない。

「何かあったらすぐに連絡しろって――。待つのに疲れてうずうずしてるみたい」

 やはり思った通りである。むしろ、こちらから連絡を取ってやらねば、勝手に学校に乗り込んできそうな感じさえする。一里之のようなタイプを、世の中は不良だとか言いたがるのであろうが、しかし彼の原動力の根底には愛という存在がいる。だから、世の中のいう不良というタイプとは、また別の存在だと千早は思っていた。

「そうですか。それならば急ぎましょう。いずれは下校時間になってしまうでしょうし」

 まだ部活動の人達がいるだろうから、下校時間のことをそこまで意識する必要はないだろう。しかし、これから愛のクラスメイトで同じ動物係の人間に話を聞き、それから堺という教師にも会わねばならないし、頃合いを見て警備員の詰所にも寄らねばならない。やることが多いため、できる限り効率良く回らねばならないだろう。

「相崎さんは図書委員の仕事で図書室にいるってことだから――」

 愛と千早はトイレを後にし、またしても愛が先頭に立つ形で校内を移動する。どうやら、スカートの振れ幅が最小になる歩き方を掴めたようで、はたから見ればまだコミカルな動きなのであろうが、しかしそれなりの速さで歩けるようになった。

「図書委員ですか。あの、相崎様は動物係もやっておられるのでは?」

「委員会と係はまるで別のものだからね。私も保健委員だったりするし。係はクラスで割り振られたものだから、委員会と掛け持ちになるんだよ」

 千早も仕方がなく幽霊委員として放送委員会に属しているが、特にクラスでの係というものはない。その制度は中学校までで終わるものだとばかり思っていたが、単に学校によって差があるだけなのだろう。
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