猫屋敷古物商店の事件台帳

鬼霧宗作

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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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「どうやら、ここで行う査定には限度があるようですね」

 5月4日の名簿を自らの目で確かめてみたいし、できることならば事件に関与した人間――愛と同じ動物係だった相崎美穂や、カッターナイフを保管していたという堺先生、それに事件の度に現場に駆けつけた――もしくは、自ら第一発見者となってしまった警備員から話を聞きたい。少なくとも、愛から話を聞くだけでは足りない情報が多い。

 「赤祖父様、そちらの高校――他校の生徒がお邪魔しても問題はありませんでしょうか? 少し、直接確かめたいことがございまして」

 しばらく視線を宙に投げた後、千早の風貌を値踏みするように眺めてくる愛。気持ちの切り替えができたようで、いたずらな笑みを浮かべる余裕さえ出てきたようだ。とりあえず元気になってくれて良かった。

「うちの高校ってブレザーだから、さすがにそのセーラー服じゃ目立つよね。土日とかなら練習試合とかで他校の生徒が学校にいる時はあるけど――」

 土日だと学校にいる人間が限られてくることだろう。可能であれば平日にお邪魔したい。

「いえ、動物係の相崎様や、カッターナイフを保管していた堺様などに、お聞きしたいことがあるのです。それに警備員の方にもお話を伺えればと。可能であれば――そうですね、平日のお昼休みか放課後が好ましいです。どちらにせよ、赤祖父様に協力していただかねばなりませんが」

 事件関係者をある程度でいいから招集して欲しいし、それが無理でもせめて校内を案内してもらわねばならない。千早の意図を察したのか、愛は小さく頷いた。

「そっちも平日は学校があるから、放課後のほうがいいよね。分かった、相崎さんとか先生には声をかけておく。警備員さんのところにも案内できるだろうし。ただ、どちらにせよ他校の制服は目立つだろうから、私の予備のスカートを貸してあげる。この時期、ブレザーよりもカーディガンとか着てる子が多いし、スカートさえうちの学校のスカートなら、まず目立つことはないと思う。それなりに生徒の数も多いし」

 バリバリ自分のセーラー服で雛撫高校に乗り込もうとしていた千早。それこそ、上にカーディガンでも羽織ればごまかせると思っていたのだが、カウンターから身を乗り出し、愛のスカートを改めて観察して納得した。高校の制服としては実に派手目な、ピンクのチェックが入ったスカートなのである。さすがにこのピンクのチェックスカートの中で自分だけ黒のスカートは目立つであろう。しかしながら、千早はやや気にかかることがあった。

「その、赤祖父様。スカートを拝借させていただけるのはありがたいのですが、長さは、あの――赤祖父様と同じものになるのでしょうか?」
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