猫屋敷古物商店の事件台帳

鬼霧宗作

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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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 事件のあらましを愛から聞いていて、まず真っ先に千早が【惨殺アイちゃん】に対して抱いた印象は、その自己主張の強さだった。

「猫屋敷、もう少し俺にも分かりやすく噛み砕いてくれねぇかな? 俺の成績――知ってるだろ?」

 もちろん、同じクラスメイトであるし、授業を受ける彼の態度や、テストの時の態度などは知っている。机の下では携帯ゲーム機でゲームをしてることがほとんどであるし、テストにいたっては開始5分後には寝ている。なんだかんだで鑑識眼というのは普段の生活の中に出てしまうせいか、実のところクラスメイトの人心掌握にはかなり自信があった。それに一里之は良くも悪くも目立つタイプ。何よりも赤い。シャツが赤いから良く目立つ。なんのことか千早は知らないが、三倍速で動くかもしれない――と陰で言われていることを彼は知らないのだろうか。そうでなければ、赤以外のシャツも着てくるはずだ。というか、学生という身分なのだから、しっかり制服を着てくるのが正解である。

「補習の常連さん――ということくらいしか知りませんが」

 意識して一里之を見ていたように思われるのも面倒だったから、クラスメイトならば誰でも知っていそうな情報しか出さない千早。かつて中学生の頃に、鑑識眼によるクラスメイトの人心掌握が災いしたことがあったのだ。あまりにも千早がクラスメイトのことに詳しいものだから、自分に恋心を抱いているに違いないと勘違いした男子にしつこく言い寄られたことがあった。あの時ばかりは、店に置いてある藁人形だとか、立て続けに持ち主が不審死した洋書などを持ち出そうかと何度も考えたものだ。結局のところ、あちらが諦めてくれたようで事なきを得た。あまりにもしつこかったら、この店から何かしらの商品が無くなっていたのかもしれない。

「まぁ、そういうことだから分かりやすく頼むわ」

 一里之のおかけで、思い出したくもないことを思い出してしまった。千早は仕切り直しという意味も込めて咳払いをすると、彼の要望通りに分かりやすく説明することにする。クラスメイトとはいえ、彼も一応はお客様であるし。

「では、こちらからお聞きするような形になりますけど、一里之君――【惨殺アイちゃん】の目的って、一体何なのだと思いますか?」

 このような時は質問形式で理解してもらうのが最も手取り早い。千早の投げかけた質問に、一里之は少しだけ唸ってから口を開いた。

「そりゃ、動物を殺すことかな――。それとも、なんか動物に恨みがあるとか」
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