46 / 226
査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】
15
しおりを挟む
気味の悪い事件を一刻も早く解決したい――風紀委員会の想いと正義は、学校をおかしな方向へと歪ませることになってしまった。すなわち、魔女狩りが始まってしまったのだ。
愛の名前の中には【アイ】が入っている。そもそも【アイ】がそのまま名前なのだから当たり前だ。それにくわえて、同じクラスの動物係である美穂も、苗字が相崎であるため、名前に【アイ】が入っている。他に【アイ】の入った者が5月4日に校内にいたそうだが、とにもかくにもやってもいない濡れ衣が、愛を筆頭とする数名に着せられることになってしまった。それこそ、犯人が名乗り出ないのであれば、学校として尋問をすべきだ――なんて声も生徒から上がったらしい。これらの事態を見て、学校側も隠し通せないと考えたのか、全体集会にて一連の事件を公表するにいたった。
事件はすでに三度起きており、それらをしっかりと精査すれば、愛の濡れ衣を晴らせるはず。しかしながら、一度貼られたレッテルというのは恐ろしいもので、5月4日に学校にいたというだけで犯人扱い。風紀委員会がやりすぎなのは火を見るより明らかであるが、どんな形であっても校内で起きている事件を決着させてしまい、校内の秩序を取り戻そうとしたゆえのことだったのかもしれない。
このままではやってもいない事件の犯人にされかねない。どうしたものかと悩んでいた時に、千早の店の噂を知り、そして噂を頼りに一里之と一緒に店を尋ねてきて現在へといたるわけだ。
「なるほど――。大体のお話は分かりました。ちなみにですが、名前に【アイ】のつく方は、5月4日の学校内に何名くらいおられたのでしょうか?」
白い手袋をはめた千早は、あらゆる角度からカッターを観察しつつ問う。ウサギ小屋で発見されたというカッターナイフ――これには人間の自分勝手なエゴが込められているような気がする。
「私とクラスメイトの相崎さん……は確実。ただ、他に【アイ】のつく人がどれだけいたかはちょっと分からないの」
その答えに千早は少しばかり質問を変える。ちょいと明確にしておきたいことがあった。
「ちなみになのですが、その警備員の詰所にて行う署名は――生徒の方のみが対象ですか? それとも、先生方や来客の方も?」
詰所にて署名をしなければ校内に入れないシステム。それがどの範囲にまでいたるのかを確かめておきたかった。現場に落ちていた記念品のカッターだって、生徒だけではなく、学校関係者全員がもらったはず。それに、当時の2年生や3年生がOGとして学校を訪れるようなケースだってあるはずだ。願わくば、校内に入る人間には手当たり次第署名してもらうようなシステムであればありがたい。
愛の名前の中には【アイ】が入っている。そもそも【アイ】がそのまま名前なのだから当たり前だ。それにくわえて、同じクラスの動物係である美穂も、苗字が相崎であるため、名前に【アイ】が入っている。他に【アイ】の入った者が5月4日に校内にいたそうだが、とにもかくにもやってもいない濡れ衣が、愛を筆頭とする数名に着せられることになってしまった。それこそ、犯人が名乗り出ないのであれば、学校として尋問をすべきだ――なんて声も生徒から上がったらしい。これらの事態を見て、学校側も隠し通せないと考えたのか、全体集会にて一連の事件を公表するにいたった。
事件はすでに三度起きており、それらをしっかりと精査すれば、愛の濡れ衣を晴らせるはず。しかしながら、一度貼られたレッテルというのは恐ろしいもので、5月4日に学校にいたというだけで犯人扱い。風紀委員会がやりすぎなのは火を見るより明らかであるが、どんな形であっても校内で起きている事件を決着させてしまい、校内の秩序を取り戻そうとしたゆえのことだったのかもしれない。
このままではやってもいない事件の犯人にされかねない。どうしたものかと悩んでいた時に、千早の店の噂を知り、そして噂を頼りに一里之と一緒に店を尋ねてきて現在へといたるわけだ。
「なるほど――。大体のお話は分かりました。ちなみにですが、名前に【アイ】のつく方は、5月4日の学校内に何名くらいおられたのでしょうか?」
白い手袋をはめた千早は、あらゆる角度からカッターを観察しつつ問う。ウサギ小屋で発見されたというカッターナイフ――これには人間の自分勝手なエゴが込められているような気がする。
「私とクラスメイトの相崎さん……は確実。ただ、他に【アイ】のつく人がどれだけいたかはちょっと分からないの」
その答えに千早は少しばかり質問を変える。ちょいと明確にしておきたいことがあった。
「ちなみになのですが、その警備員の詰所にて行う署名は――生徒の方のみが対象ですか? それとも、先生方や来客の方も?」
詰所にて署名をしなければ校内に入れないシステム。それがどの範囲にまでいたるのかを確かめておきたかった。現場に落ちていた記念品のカッターだって、生徒だけではなく、学校関係者全員がもらったはず。それに、当時の2年生や3年生がOGとして学校を訪れるようなケースだってあるはずだ。願わくば、校内に入る人間には手当たり次第署名してもらうようなシステムであればありがたい。
0
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
ミノタウロスの森とアリアドネの嘘
鬼霧宗作
ミステリー
過去の記録、過去の記憶、過去の事実。
新聞社で働く彼女の元に、ある時8ミリのビデオテープが届いた。再生してみると、それは地元で有名なミノタウロスの森と呼ばれる場所で撮影されたものらしく――それは次第に、スプラッター映画顔負けの惨殺映像へと変貌を遂げる。
現在と過去をつなぐのは8ミリのビデオテープのみ。
過去の謎を、現代でなぞりながらたどり着く答えとは――。
――アリアドネは嘘をつく。
(過去に別サイトにて掲載していた【拝啓、15年前より】という作品を、時代背景や登場人物などを一新してフルリメイクしました)
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―
鬼霧宗作
ミステリー
窓辺野コトリは、窓辺野不動産の社長令嬢である。誰もが羨む悠々自適な生活を送っていた彼女には、ちょっとだけ――ほんのちょっとだけ、人がドン引きしてしまうような趣味があった。
事故物件に異常なほどの執着――いや、愛着をみせること。むしろ、性的興奮さえ抱いているのかもしれない。
不動産会社の令嬢という立場を利用して、事故物件を転々とする彼女は、いつしか【ロンダリングプリンセス】と呼ばれるようになり――。
これは、事故物件を心から愛する、ちょっとだけ趣味の歪んだ御令嬢と、それを取り巻く個性豊かな面々の物語。
※本作品は他作品【猫屋敷古物商店の事件台帳】の精神的続編となります。本作から読んでいただいても問題ありませんが、前作からお読みいただくとなおお楽しみいただけるかと思います。
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。

靴を落としたらシンデレラになれるらしい
犬野きらり
恋愛
ノーマン王立学園に通う貴族学生のクリスマスパーティー。
突然異様な雰囲気に包まれて、公開婚約破棄断罪騒動が勃発(男爵令嬢を囲むお約束のイケメンヒーロー)
私(ティアラ)は周りで見ている一般学生ですから関係ありません。しかし…
断罪後、靴擦れをおこして、運悪く履いていたハイヒールがスッポ抜けて、ある一人の頭に衝突して…
関係ないと思っていた高位貴族の婚約破棄騒動は、ティアラにもしっかり影響がありまして!?
「私には関係ありませんから!!!」
「私ではありません」
階段で靴を落とせば別物語が始まっていた。
否定したい侯爵令嬢ティアラと落とされた靴を拾ったことにより、新たな性癖が目覚めてしまった公爵令息…
そしてなんとなく気になる年上警備員…
(注意)視点がコロコロ変わります。時系列も少し戻る時があります。
読みにくいのでご注意下さい。
コドク 〜ミドウとクロ〜
藤井ことなり
ミステリー
刑事課黒田班に配属されて数ヶ月経ったある日、マキこと牧里子巡査は[ミドウ案件]という言葉を知る。
それはTMS探偵事務所のミドウこと、西御堂あずらが関係する事件のことだった。
ミドウはマキの上司であるクロこと黒田誠悟とは元同僚で上司と部下の関係。
警察を辞め探偵になったミドウは事件を掘り起こして、あとは警察に任せるという厄介な人物となっていた。
事件で関わってしまったマキは、その後お目付け役としてミドウと行動を共にする[ミドウ番]となってしまい、黒田班として刑事でありながらミドウのパートナーとして事件に関わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる