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査定1 家族記念日と歪んだ愛憎【解答編】
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キンモクセイは挿し木という手法で育てた場合、最低でも5年は花をつけない。しかし、日記の中では第3回の家族記念日の段階で、その前年に花が咲いていたことになる。これも日記が4年周期で書かれていたことが判明すれば、あっさりと謎が解決する。
「第3回の日記が書かれた前年にキンモクセイの花が咲いている。最初に書かれた日記から数えると第3回は8年後――その前年ということは、実際はキンモクセイを挿し木で植えてから7年後に花が咲いていたということになる。なるほど、それなら筋が通りますねぇ」
ひとつの綻びがほどけると、それらが連鎖するように一度に弾ける。この感覚を心地よく思えるのは、刑事としての性なのかもしれない。いいや、誰だって同じようなカタルシスを感じるであろう。
「ふたつめのポイントとなる、日取りがどうやら悪い年があるというのも、日記が4年周期で書かれていたものだと考えれば解決します。家族記念日の次の年は、当たり前ですけど2月29日がありません。だからこそ、被害者にとって必ず日取りが悪いことになり、家族記念日も前後してしまうのです」
家族記念日は毎年行われていたようだが、しかし2月29日は4年に一度しかない。だから、他の年に家族記念日をやるのであれば、必ず家族記念日はその前後に動いてしまうのだ。日記は4年周期でしか書かれていないのに、その記述の中に前後の年のことが書かれてしまっているからこそ、混乱と矛盾を招いてしまったのだろう。
「ここまでくれば、みっつめのポイントとよっつめのポイントも解決します。第7回の日記で赤いチャンチャンコをプレゼントされているということは、その年に被害者は60歳だったことになります。そこから逆算します。第6回が56歳の時、第5回が52歳の時、第4回が48歳、第3回が44歳、第2回が40歳、そして最初に日記が書かれたのが36歳。ちなみに第8回が64歳の年に書かれたものということになりますから、この日記は被害者が36歳の頃から64歳にいたるまで――実に28年という歳月をまたいで書かれていたことになります」
日記は28年に渡り書かれていたものだった。それを彼女はキンモクセイだけで見抜いたのだ。その洞察力には恐れ入る。いいや、彼女の場合は鑑識眼といったほうが名誉になるのかもしれない。
「第3回の日記が書かれた前年にキンモクセイの花が咲いている。最初に書かれた日記から数えると第3回は8年後――その前年ということは、実際はキンモクセイを挿し木で植えてから7年後に花が咲いていたということになる。なるほど、それなら筋が通りますねぇ」
ひとつの綻びがほどけると、それらが連鎖するように一度に弾ける。この感覚を心地よく思えるのは、刑事としての性なのかもしれない。いいや、誰だって同じようなカタルシスを感じるであろう。
「ふたつめのポイントとなる、日取りがどうやら悪い年があるというのも、日記が4年周期で書かれていたものだと考えれば解決します。家族記念日の次の年は、当たり前ですけど2月29日がありません。だからこそ、被害者にとって必ず日取りが悪いことになり、家族記念日も前後してしまうのです」
家族記念日は毎年行われていたようだが、しかし2月29日は4年に一度しかない。だから、他の年に家族記念日をやるのであれば、必ず家族記念日はその前後に動いてしまうのだ。日記は4年周期でしか書かれていないのに、その記述の中に前後の年のことが書かれてしまっているからこそ、混乱と矛盾を招いてしまったのだろう。
「ここまでくれば、みっつめのポイントとよっつめのポイントも解決します。第7回の日記で赤いチャンチャンコをプレゼントされているということは、その年に被害者は60歳だったことになります。そこから逆算します。第6回が56歳の時、第5回が52歳の時、第4回が48歳、第3回が44歳、第2回が40歳、そして最初に日記が書かれたのが36歳。ちなみに第8回が64歳の年に書かれたものということになりますから、この日記は被害者が36歳の頃から64歳にいたるまで――実に28年という歳月をまたいで書かれていたことになります」
日記は28年に渡り書かれていたものだった。それを彼女はキンモクセイだけで見抜いたのだ。その洞察力には恐れ入る。いいや、彼女の場合は鑑識眼といったほうが名誉になるのかもしれない。
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