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査定1 家族記念日と歪んだ愛憎【解答編】
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「いつつめのポイントはもっとも重要になります。それは――キンモクセイです」
とうとう千早の親指も開かれた。しかしながら、千早が重要そうなポイントを挙げても、なんだか班目はピンとこなかった。
「ひとつめから順に詳しく査定ポイントを見ていきます。まず、16歳は果たしてキリの良い年齢なのか否か。どう思われますか?」
千早に話を振られるとは思っていなかった班目は、そこで言葉に詰まってしまった。その様子を見てか、千早が言葉を変えて問いを改めて投げてくる。
「では、16歳と聞いて、何か連想するものはありませんか? ないのであれば、それはそれで構いません」
班目は宙に視線をやって考えてみる。16歳といえば――女性の結婚が許される年齢である。ざっと考えてはみたが、それくらいしか16歳から連想できるものはなかった。
「うーん、女性だと結婚することが許される年齢ですねぇ。でも、キリが良いというのとはちょっと違うような気もします」
千早は班目の答えに頷き「私もそう思います。どうにもピンときません」と一言。どうにも16歳という年齢がキリの良いものだとは思えない。ならばなぜ、日記を書いた張本人はキリが良いだなんて書いたのか。
「一旦、これは暖めておいて、次のポイントのお話をしましょう。日記の中で被害者はこんな記述をしています。――来年は日取りが悪いから、記念日が前後するかもしれない。と」
警察手帳とにらめっこを続ける班目は、確かに千早が言うような記述があることを確認する。家族記念日とやらに日取りの良し悪しなんてあるのだろうか。
「これ、よくよく考えたら不自然だと思いませんか? 一年先の予定が決まっているのならば話は別ですが、家族記念日にこだわっていた様子の被害者が、わざわざ一年先の記念日に予定を入れるとは思えません。一体、なんの日取りが悪かったのでしょうか?」
いちいち班目に問いかけてくるスタンスの千早。答えは一向にまとまらず、彼女が疑問点を挙げれば挙げるだけ謎が増えていくような気がする。ここまで風呂敷を広げておいて、本当に答えに収束するのだろうか。まぁ、査定が終わっているとのことだし、千早にはすでに答えが見えているはずだが。
「さぁ、私は被害者じゃありませんからねぇ。その辺りのことは良く分かりません」
明確な答えがきっとあるのだろうが、班目はあえて曖昧な答えかたをする。千早は「では、これも一旦、後回しにしましょう」と、論点を切り替える。
とうとう千早の親指も開かれた。しかしながら、千早が重要そうなポイントを挙げても、なんだか班目はピンとこなかった。
「ひとつめから順に詳しく査定ポイントを見ていきます。まず、16歳は果たしてキリの良い年齢なのか否か。どう思われますか?」
千早に話を振られるとは思っていなかった班目は、そこで言葉に詰まってしまった。その様子を見てか、千早が言葉を変えて問いを改めて投げてくる。
「では、16歳と聞いて、何か連想するものはありませんか? ないのであれば、それはそれで構いません」
班目は宙に視線をやって考えてみる。16歳といえば――女性の結婚が許される年齢である。ざっと考えてはみたが、それくらいしか16歳から連想できるものはなかった。
「うーん、女性だと結婚することが許される年齢ですねぇ。でも、キリが良いというのとはちょっと違うような気もします」
千早は班目の答えに頷き「私もそう思います。どうにもピンときません」と一言。どうにも16歳という年齢がキリの良いものだとは思えない。ならばなぜ、日記を書いた張本人はキリが良いだなんて書いたのか。
「一旦、これは暖めておいて、次のポイントのお話をしましょう。日記の中で被害者はこんな記述をしています。――来年は日取りが悪いから、記念日が前後するかもしれない。と」
警察手帳とにらめっこを続ける班目は、確かに千早が言うような記述があることを確認する。家族記念日とやらに日取りの良し悪しなんてあるのだろうか。
「これ、よくよく考えたら不自然だと思いませんか? 一年先の予定が決まっているのならば話は別ですが、家族記念日にこだわっていた様子の被害者が、わざわざ一年先の記念日に予定を入れるとは思えません。一体、なんの日取りが悪かったのでしょうか?」
いちいち班目に問いかけてくるスタンスの千早。答えは一向にまとまらず、彼女が疑問点を挙げれば挙げるだけ謎が増えていくような気がする。ここまで風呂敷を広げておいて、本当に答えに収束するのだろうか。まぁ、査定が終わっているとのことだし、千早にはすでに答えが見えているはずだが。
「さぁ、私は被害者じゃありませんからねぇ。その辺りのことは良く分かりません」
明確な答えがきっとあるのだろうが、班目はあえて曖昧な答えかたをする。千早は「では、これも一旦、後回しにしましょう」と、論点を切り替える。
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