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査定1 家族記念日と歪んだ愛憎【プロローグ】
査定1 家族記念日と歪んだ愛憎【プロローグ】1
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帰宅ラッシュの始まった大通りに車を走らせる。田舎の銀座通りは今日も混んでおり、なかなか車が前に進まない。最大の問題は、飲食店やらスーパーやらを作って栄えさせたくせに、肝心の道路がいまだに一車線であることだ。
通りに入って何店舗めかのパチンコ屋の前を通り過ぎる。どうして田舎というのは、こうもパチンコ屋が幅をきかせているのだろうか。都会に比べて娯楽に限りがあるとはいえ、あまりにもパチンコ屋の看板ばかりなのはどうかと思う。これでも、芸術祭などが行われるようになったことで、全国的に有名になった街なのであるが。
帰宅ラッシュとはいえ、混んでいるのは主要の道路だけ。そこさえ抜けてしまえば、びっくりするほど車通りが少なくなるのも、田舎特有の現象だといえよう。通りを左に曲がり、日本最長の信濃川にかかる妻有大橋を渡る。橋を渡って段丘をのぼると、今度は幹線道路に突き当たるまでまっすぐ。米の名産地であるがゆえの田園風景が広がる幹線道路に入ると、ガソリンスタンドのある交差点を左に曲がり、ちょっとした峠道へと入った。
愛車のビートルはクラシックカーと呼ばれてもおかしくないほどの年季ものであるが、こまめにメンテナンスをしているおかげか、まだ現役で動いてくれている。思い入れがあるがゆえに、時代が平成から令和になっても手放せないでいる。そのハンドルを握っている彼は喫煙家なのだが、このビートルの車内は禁煙である。彼にしか分からないこだわりがあった。
――班目正晴。妻有警察署捜査一課警部。エスカレーター式で出世するキャリア組とは違い、俗にいうたたき上げの刑事だ。そんな彼は、馴染みの店へと車を走らせていた。
誰が利用するのか不思議に思うのだが、しかし電気が灯っているのをしょっちゅう見かける市民体育館を通り過ぎれば、峠も折り返し。これまでのぼりだった道が、その先にあるトンネルの中でくだりになる。トンネルを抜けて、いくつかのスノーシェッドをくぐり、閉鎖してしまった廃ホテルの前を通ると、目的地はあと少し。目の前の景色が拓け、山あいの長閑な風景が広がる。
真っ赤な橋を渡ると右手に道の駅が見えてくる。左手に折れると目的地なのであるが、とりあえず右手に曲がって道の駅に寄る。車から降りると閉店直前といった具合の売店に滑り込み、その場で焙煎してもらえるコーヒーを購入。山あいの道の駅ということもあってか割高であるが、ここのコーヒーが班目のお気に入りだった。
通りに入って何店舗めかのパチンコ屋の前を通り過ぎる。どうして田舎というのは、こうもパチンコ屋が幅をきかせているのだろうか。都会に比べて娯楽に限りがあるとはいえ、あまりにもパチンコ屋の看板ばかりなのはどうかと思う。これでも、芸術祭などが行われるようになったことで、全国的に有名になった街なのであるが。
帰宅ラッシュとはいえ、混んでいるのは主要の道路だけ。そこさえ抜けてしまえば、びっくりするほど車通りが少なくなるのも、田舎特有の現象だといえよう。通りを左に曲がり、日本最長の信濃川にかかる妻有大橋を渡る。橋を渡って段丘をのぼると、今度は幹線道路に突き当たるまでまっすぐ。米の名産地であるがゆえの田園風景が広がる幹線道路に入ると、ガソリンスタンドのある交差点を左に曲がり、ちょっとした峠道へと入った。
愛車のビートルはクラシックカーと呼ばれてもおかしくないほどの年季ものであるが、こまめにメンテナンスをしているおかげか、まだ現役で動いてくれている。思い入れがあるがゆえに、時代が平成から令和になっても手放せないでいる。そのハンドルを握っている彼は喫煙家なのだが、このビートルの車内は禁煙である。彼にしか分からないこだわりがあった。
――班目正晴。妻有警察署捜査一課警部。エスカレーター式で出世するキャリア組とは違い、俗にいうたたき上げの刑事だ。そんな彼は、馴染みの店へと車を走らせていた。
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