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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【解答編】
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「状況的に考えて、あの旅行雑誌――明らかにお荷物になっていた。だから、わざわざ取りに戻るとは思えない。しかし、取りに戻ったんだ。いや、取りに戻らざるを得ないような事情があった」
九十九の視線が自分のほうへと向けられた。思わず視線を外しそうになってしまう。もう分かっているんだろう――そう言われているような気がしてならなかった。
「いや、その前に喫茶店の人が、どうやって彼女にメールをしてきたのかを――」
「まずは、その発想を変えるんだ。被害者は喫茶店に忘れ物なんてしていない。旅行雑誌は別の場所にあったんだ」
アカリの言葉を遮った九十九。娘が旅行雑誌を忘れたのはどこなのか。いいや、もしかするとその発想自体が間違っているのかもしれない。出雲からすれば信じられないことだったが、しかしそう考えると筋が通ってしまう。
「大体、被害者自身は【忘れ物】なんて表現をしたが、実のところ忘れ物なんてしてねぇんだよ。被害者は父親から渡された旅行雑誌をどうにかしたかった。キャリーケースに入れることはできないし、自分のポーチにも入らない。かと言って、せっかくの婚前旅行だ。それを持って歩くというのも嫌だろう。そんな彼女の目の前に、ある店があったとしたらどうだろう?」
ある店――。再現映像については、一応実際の場所で撮影している。ゆえに、もしかすると、ある店というのも再現映像の中に映っていた可能性がある。――もう分かっていたのだ。おそらく、あの店のことを指しているのだろう。まだ答えが分からないふりをするのは簡単だが、どうやらもう認めなければならないらしい。
「ある店?」
凛が小さく首を傾げる。長谷川が何か思いついたかのごとく「あぁ、そういうことか」と漏らした。眠夢はただ無言で頷き、置いてきぼりをくったアカリは「え? どういうこと?」と漏らす。小野寺にいたっては完全に借りてきた猫。お得意の推理力なんて、これっぽっちもない。
「あぁ、本をなんとか処分したい。そんな状況の時、目の前に古本屋が現れたらどうする?」
あぁ、やっぱりそうなのか。確かに、再現映像の中には古本屋も出てきた。そして、娘は婚約者である藤木と合流した時点で、すでに旅行雑誌を持っていなかったのだ。つまり、娘は――藤木が荷物を預けている間に、古本屋へと向かい、旅行雑誌を手放したのである。全てが分かってしまった出雲には、そうとしか考えられなかった。
九十九の視線が自分のほうへと向けられた。思わず視線を外しそうになってしまう。もう分かっているんだろう――そう言われているような気がしてならなかった。
「いや、その前に喫茶店の人が、どうやって彼女にメールをしてきたのかを――」
「まずは、その発想を変えるんだ。被害者は喫茶店に忘れ物なんてしていない。旅行雑誌は別の場所にあったんだ」
アカリの言葉を遮った九十九。娘が旅行雑誌を忘れたのはどこなのか。いいや、もしかするとその発想自体が間違っているのかもしれない。出雲からすれば信じられないことだったが、しかしそう考えると筋が通ってしまう。
「大体、被害者自身は【忘れ物】なんて表現をしたが、実のところ忘れ物なんてしてねぇんだよ。被害者は父親から渡された旅行雑誌をどうにかしたかった。キャリーケースに入れることはできないし、自分のポーチにも入らない。かと言って、せっかくの婚前旅行だ。それを持って歩くというのも嫌だろう。そんな彼女の目の前に、ある店があったとしたらどうだろう?」
ある店――。再現映像については、一応実際の場所で撮影している。ゆえに、もしかすると、ある店というのも再現映像の中に映っていた可能性がある。――もう分かっていたのだ。おそらく、あの店のことを指しているのだろう。まだ答えが分からないふりをするのは簡単だが、どうやらもう認めなければならないらしい。
「ある店?」
凛が小さく首を傾げる。長谷川が何か思いついたかのごとく「あぁ、そういうことか」と漏らした。眠夢はただ無言で頷き、置いてきぼりをくったアカリは「え? どういうこと?」と漏らす。小野寺にいたっては完全に借りてきた猫。お得意の推理力なんて、これっぽっちもない。
「あぁ、本をなんとか処分したい。そんな状況の時、目の前に古本屋が現れたらどうする?」
あぁ、やっぱりそうなのか。確かに、再現映像の中には古本屋も出てきた。そして、娘は婚約者である藤木と合流した時点で、すでに旅行雑誌を持っていなかったのだ。つまり、娘は――藤木が荷物を預けている間に、古本屋へと向かい、旅行雑誌を手放したのである。全てが分かってしまった出雲には、そうとしか考えられなかった。
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