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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【解答編】
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「当然だが、あの事故は様々な要因が複雑に絡み合って起きたものだ。どれが悪いと決めつけることはできないだろうし、どれが許されるというものでもない。だとすれば、答えはバラバラになって当然だろうな」
長谷川がさも当然とばかりに言う。だからといって、様々な要因のひとつを答えとして引っ張り出されても困る。結局のところ、それぞれの答えは要因のいくつかを抜粋したものにすぎず、それでは出雲が納得できない。
「確かに、そう考えるのであれば、いくつもの要因が重なったがゆえに事故は起きたと言える。だったら、抜本的な部分から考えよう。そうだな――あのバスに乗ってしまった時点で、被害者の運命は決まってしまったと考えよう。その後、俺が運転手と喧嘩をしようが、運転手がどれくらいの速度でバスを走らせようが、長谷川が止めに入ろうが、木戸が支払いに手間取ろうが関係ない。そもそも、どうして俺達が乗ることになるバスに、被害者は乗らなければならなかったのか? 本当なら婚約者の藤木と一緒に、一本前のバスに乗っていたはずなのに」
問題を広い視点から眺める。例のバスに乗った時点で、その後の展開云々ではなく娘は事故に遭っていた。それを回避するにはどうしたらいいのか。簡単なことで、それより一本前のバスに素直に乗ってさえいれば、娘が命を落とすことはなかったであろう。しかし、それなりの理由が必要。ここまでは、目に見えてきた要因ばかりだった。しかしながら、娘が一本バスを遅らせた理由は明確になっていない。本人は忘れ物をしたと言っていたようだが、では一体、どこに何を忘れてきたのか。思わず口を挟みそうになるのを堪えつつ、出雲は【最後の審判】を見守る。
「――忘れ物をしたんだよね? その忘れ物がなんなのかは分かっていないけど」
凛が口を開き、そのついでとばかりに九十九が凛へと問いを投げかけた。
「桃山、じゃあよ――その忘れ物ってのは、どこに置いてきたものだと思う?」
娘が一本バスを遅らせた理由。それは、忘れ物を取りに向かうためだった。ならば、どのような解釈をしても、結局のところ忘れ物をした娘が悪いということにならないだろうか。残念ながら、出雲は娘の死に対しての怒りのやり場がなくて、こんなことをやったのだ。今さらになって、その怒りを娘にぶつけてくれと言われても、断固として拒否させてもらう。娘が犯人だ――という答えが出た時点で不正解確定である。
長谷川がさも当然とばかりに言う。だからといって、様々な要因のひとつを答えとして引っ張り出されても困る。結局のところ、それぞれの答えは要因のいくつかを抜粋したものにすぎず、それでは出雲が納得できない。
「確かに、そう考えるのであれば、いくつもの要因が重なったがゆえに事故は起きたと言える。だったら、抜本的な部分から考えよう。そうだな――あのバスに乗ってしまった時点で、被害者の運命は決まってしまったと考えよう。その後、俺が運転手と喧嘩をしようが、運転手がどれくらいの速度でバスを走らせようが、長谷川が止めに入ろうが、木戸が支払いに手間取ろうが関係ない。そもそも、どうして俺達が乗ることになるバスに、被害者は乗らなければならなかったのか? 本当なら婚約者の藤木と一緒に、一本前のバスに乗っていたはずなのに」
問題を広い視点から眺める。例のバスに乗った時点で、その後の展開云々ではなく娘は事故に遭っていた。それを回避するにはどうしたらいいのか。簡単なことで、それより一本前のバスに素直に乗ってさえいれば、娘が命を落とすことはなかったであろう。しかし、それなりの理由が必要。ここまでは、目に見えてきた要因ばかりだった。しかしながら、娘が一本バスを遅らせた理由は明確になっていない。本人は忘れ物をしたと言っていたようだが、では一体、どこに何を忘れてきたのか。思わず口を挟みそうになるのを堪えつつ、出雲は【最後の審判】を見守る。
「――忘れ物をしたんだよね? その忘れ物がなんなのかは分かっていないけど」
凛が口を開き、そのついでとばかりに九十九が凛へと問いを投げかけた。
「桃山、じゃあよ――その忘れ物ってのは、どこに置いてきたものだと思う?」
娘が一本バスを遅らせた理由。それは、忘れ物を取りに向かうためだった。ならば、どのような解釈をしても、結局のところ忘れ物をした娘が悪いということにならないだろうか。残念ながら、出雲は娘の死に対しての怒りのやり場がなくて、こんなことをやったのだ。今さらになって、その怒りを娘にぶつけてくれと言われても、断固として拒否させてもらう。娘が犯人だ――という答えが出た時点で不正解確定である。
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