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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【解答編】

最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【解答編】1

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【1】

 誰が見ても、この光景というのは異常であろう。馬鹿馬鹿しいにもほどがあるし、一生のうちでおそらく一度限りであろう大金を手にするタイミングもなくしてしまった。これまで懸命に刑事として積み重ねてきたキャリアと退職金は、景気が良かった時に建設され、今や中身がスカスカになってしまったビルのワンフロアに変わってしまった。

 自分でも酔狂だと思うし、とんでもないことをしてしまったものだと思っている。けれども後悔はしていない。

 娘は結婚を間近にして逝ってしまった。幼い頃に妻を亡くし、これまで男手ひとつで育ててきたのだ。もちろん、うまく子育てができただなんて微塵も思っていない。随分とまずい飯を食わせてきた。寂しい思いもさせた。我慢だってさせたに違いない。しかし、娘は良い子に育ってくれた。だからこそ、嫁に出すのは正直なところ嫌だった。しかし、それは娘が幸せになろうとしているのを邪魔することになる。ようやく、自分を言い聞かせて納得した矢先、娘の訃報が舞い込んできた。

 ――分かっている。あれが事故だなんてこと、誰よりも出雲自身が分かっている。だが、こうでもしないと気が狂いそうだった。頭がおかしくなりそうだった。衝動に駆られるままに、ここまでのことをやってしまったのは、精神を崩壊させまいとする出雲の防衛反応だったのかもしれない。

 これから幸せになるはずだったのに。少なくとも、まだまだ長い人生が待っていたはずなのに。片親で苦労させた分、幸せになって欲しかったのに。どうして娘でなければならなかったのだろうか。

 たくさんいるではないか。人を殺しても屁理屈ばかりをこねて自分を肯定しようとするやつ。人を殺しても罪悪感ひとつ抱かず、そして話さえ通用しないやつ。様々な犯罪者を見てきたが、その大半は一生刑務所暮らし程度の罰しか与えられない。死刑になるやつさえ、まれだというのに、どうして娘が死ななければならなかったのか。

 出雲はスタジオの――主に解答席のほうへと視線を向け、その視線を往復させていた。

 たまたまバスに乗り合わせた連中。こいつらのうち、誰か一人がバスに乗らなければ、また、バスが事故に遭う前に、もう一人多く降りていたら――娘は助かったのかもしれない。言い出してしまえばキリがないことくらい分かってる。様々な要因が積み重なって、娘の死という結末が訪れたことくらいは理解しているつもりだ。しかし、それで納得できてしまうほど、出雲は薄情ではない。世の中にたった一人の愛娘だったのだ。納得できる答えを求めて当然だろう。それくらいの権利を与えられたって罰は当たらない。
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