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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】

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「被害者が忘れ物に気づいたきっかけ――。案外、重要な点かもしれねぇな」

 被害者は何を忘れ、何を取りに戻ったのか。実のところ、その忘れ物の正体は絞り込めていた。ただ、証拠がない。可能性として頭の片隅にはあるが、しかし決定打にはならないだろう。

 そもそも、被害者は本当に忘れ物をしたのだろうか。するとしたら――喫茶店、いいやそれよりも前の段階のはず。そして、それは藤木が荷物を一度駅に預けに向かった、わずかな時間に発生したと思われる。

 可能性を探れ。情報が足りないことは最初から分かりきっていること。いいや、仮に情報が足りていたとしても、出雲が納得する答えを出さねばならないのだ。それが真実であるか否かは別の問題であり、ジャッジを下すことになる出雲が納得するか否かということが重要。ただし、彼にとって都合が良いだけの答えを出すつもりはない。すなわち、犯人でもない人間を犯人だとでっち上げるようなことはしないつもりだし、真実を捻じ曲げるつもりもない。それは――九十九のせめてもの意地だった。

「被害者自身が忘れ物をしなければ事故に遭うバスに乗ることにはならなかったわけだよね? だとしたら――自業自得って答えもあり得るんじゃない?」

 許された30分という時間を活用しようと意識しているのであろう。凛が意見のひとつとして口にすると、明らかに顔をしかめる出雲。その表情からも分かることだが、凛のような答えを出したところで、正解とはならないだろう。その雰囲気で察したのか「これ、絶対に正解なんてできないじゃん――」と凛が漏らした。

 その通りだ。今の答えでは、きっと出雲も納得はしない。彼が納得できる答えを用意することが大前提である以上、おそらく娘の自業自得などという答えは通らないだろう。

 出雲は誰かに怒りをぶつけたい。本当ならば、事故で済まされたかもしれない問題をひっくり返し、誰かを悪者にしたい。だからこそ、小野寺という悪徳刑事を巻き込んだ。だからこそ、事故の関係者を集めて、大掛かりなクイズ番組を始めた。もはや悪者にできない被害者自身が悪いという結論は認められない。

「いいか? 発想を変えるんだよ。どうしたら被害者は事故に遭わずに済んだのかを考えるんだ。現状、被害者が忘れ物なんてしなければ――いや、例え忘れ物をしたとしても、バスを降りずに藤木と一緒にいたのならば、事故には遭わなかったんだ」

 情報源は再現映像だけではない。藤木のほうへと視線をやった九十九は、別の角度から攻めることにした。議論のはずが、やや独壇場となってしまっているが、この際仕方がないだろう。まずは、それなりの答えを見つけなければならないのだから。
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