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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】
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「俺達3人に関しては――事故が起きる前にバスを降りている。つまり、仮にあれが事故ではなく意図的に起こされた事件だったとしても、この3人に関しては犯人じゃないって言えるんじゃないか?」
長谷川は細かい部分まで考えがいたっていないようだ。確かに、常識的に考えるのであれば、九十九、長谷川、アカリは容疑から外れることだろう。しかしながら、その問題を提示している相手には、その常識が通用しない。単なる事故である可能性が高いものを事件と考えているのだから当然。この問題は正解を導き出すことが全てではない。出雲が納得する答えを出さねばならないのだ。なんとも理不尽な問題なのである。
「いや、あれが事故だろうが事件だろうが、俺達が被害者の死にまるで関与していないか――となると、実のところそうじゃない。木戸が言ってただろ? 財布を取り出すのに手間取ったりしなければ、バスは事故に遭わなかったってよ」
アカリはバスを降りる際に、財布がなくて支払いに手間取った。結局、鞄の奥底にあったわけだが、このタイムロスがなければ、バスはそもそも事故には遭わなかったわけだ。
「俺を注意するために、わざわざバスの運転手はバスを路肩に停めて俺を注意してきた。それに対して、俺も反論した。これだって、土砂崩れの現場にバスがたまたま居合わせてしまった原因だと言えるだろう。もちろん、長谷川が口論を止めに入らなければ、バスの発車時刻も前後しただろう。途中でバスを降りた俺達でさえ、あのバスが事故に遭う要因にはなってるってことさ」
なんとか言葉を繋いではいたが、九十九は正直なところ不安だった。犯人が確実に存在していて、そしてトリックが用意されている事件ならば、こんなに不安感を抱くことはないだろう。そこに犯人の存在はおろか、トリックさえ存在しない。ただの事故であるというのに、犯人を探し出せ――という注文がそもそもおかしいのだ。本当に正しい答えなんてあるのだろうか。
「なんというか――つかみどころのない議論になりそうだな。とりあえず、後の2人は事故が起きた際にバスに乗ってたんだよな?」
どのように議論を展開していいのか分からないのは、長谷川とて同じことだろう。ゆえに、眠夢と凛に話を振ったのかもしれない。
今度は凛と眠夢が順番に当時の状況を振り返る。眠夢は母親と前の席のほうに座っていたところで事故に遭った。当時、九十九が高校生だったのだから、眠夢はまだ小学生くらいだっただろう。もちろん、そんな女の子が母親と乗り合わせていた記憶は、九十九の頭の中には残っていなかった。
長谷川は細かい部分まで考えがいたっていないようだ。確かに、常識的に考えるのであれば、九十九、長谷川、アカリは容疑から外れることだろう。しかしながら、その問題を提示している相手には、その常識が通用しない。単なる事故である可能性が高いものを事件と考えているのだから当然。この問題は正解を導き出すことが全てではない。出雲が納得する答えを出さねばならないのだ。なんとも理不尽な問題なのである。
「いや、あれが事故だろうが事件だろうが、俺達が被害者の死にまるで関与していないか――となると、実のところそうじゃない。木戸が言ってただろ? 財布を取り出すのに手間取ったりしなければ、バスは事故に遭わなかったってよ」
アカリはバスを降りる際に、財布がなくて支払いに手間取った。結局、鞄の奥底にあったわけだが、このタイムロスがなければ、バスはそもそも事故には遭わなかったわけだ。
「俺を注意するために、わざわざバスの運転手はバスを路肩に停めて俺を注意してきた。それに対して、俺も反論した。これだって、土砂崩れの現場にバスがたまたま居合わせてしまった原因だと言えるだろう。もちろん、長谷川が口論を止めに入らなければ、バスの発車時刻も前後しただろう。途中でバスを降りた俺達でさえ、あのバスが事故に遭う要因にはなってるってことさ」
なんとか言葉を繋いではいたが、九十九は正直なところ不安だった。犯人が確実に存在していて、そしてトリックが用意されている事件ならば、こんなに不安感を抱くことはないだろう。そこに犯人の存在はおろか、トリックさえ存在しない。ただの事故であるというのに、犯人を探し出せ――という注文がそもそもおかしいのだ。本当に正しい答えなんてあるのだろうか。
「なんというか――つかみどころのない議論になりそうだな。とりあえず、後の2人は事故が起きた際にバスに乗ってたんだよな?」
どのように議論を展開していいのか分からないのは、長谷川とて同じことだろう。ゆえに、眠夢と凛に話を振ったのかもしれない。
今度は凛と眠夢が順番に当時の状況を振り返る。眠夢は母親と前の席のほうに座っていたところで事故に遭った。当時、九十九が高校生だったのだから、眠夢はまだ小学生くらいだっただろう。もちろん、そんな女の子が母親と乗り合わせていた記憶は、九十九の頭の中には残っていなかった。
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