クイズ 誰がやったのでＳＨＯＷ

最終問題 クイズ 誰がやったのでＳＨＯＷ【出題編】

12

　もし、記憶が残っているというのであれば、小野寺の証言こそが大きな鍵となることだろう。しかしながら、小野寺自身は当時の記憶を失ってしまっている。九十九達とておぼろげな記憶ではあるが、丸々抜け落ちてしまっている小野寺に比べたらマシだろう。

「まぁ、当時の記憶を思い出してくれるのが一番なんだろうけどね」

　アカリもどのように接していいのか分からないのであろう。本人に直接向き合わず、なぜか九十九に同意を求めるようなスタンスを取る。仕方がないから「まぁな」とだけ返してやった。

「あの、思い出せるように――頑張ります」

　小野寺は弱々しく言うと、卑下するかのように苦笑いを浮かべた。彼の立場には同情する。悪徳刑事なんてことをやっていたとしても、記憶を失ってしまった彼を責める気にはなれなかった。まぁ、構ってやる時間もないのだが。

「それじゃあ、これまでの情報をまとめてみるか」

　九十九達に残されている時間は30分。これまでの流れからすると、他にもある程度の時間は用意されているだろう。けれども、事件の内容が内容であるだけに、できることならば30分である程度の答えにたどり着きたい。これまでのペースでやってしまうと、下手すると意見がまとまらないだろう。

　九十九が音頭を取り、それぞれが当時の証言を改めて行う。

　当時、高校生だった九十九は、聞いていた音楽の音量について、バスの運転手から直々に注意を受けた。素直にそれを受け入れられるような性格ではない九十九は当然のように反発。売り言葉に買い言葉で、運転手との口論に発展した。そこに恰幅の良い男が止めに入り、口論がストップ。九十九はそこでバスを降りてしまう。ちなみに、止めに入ったのは長谷川だった。

　長谷川は九十九と運転手の口論を止めに入り、九十九がバスを降りるのを見送った。その後、目的のバス停へと到着。事故が起きる前にバスを降りている。

　九十九、長谷川――両者共に、事故が起きる前にバスを降りている。そして、アカリもまた事故が起きる前にバスを降りていた。祖母のところに遊びに行く予定だったらしいが、降りる時に財布が見つからずに手間取ってしまい、かなりバスを待たせてしまったらしい。なんとか財布を見つけてバスを降りたものの、本人には罪悪感のようなものが残ったらしい。

　とりあえず、事故が起きる前にバスから降りていたのは九十九、長谷川、アカリの３人。ただ、事故が起きる前に降りたからといって、出雲の中では容疑者から外れはしないだろう。