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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】
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「もちろん、事故なんかじゃないさ。まぁ、そこにいる小野寺が記憶を取り戻してくれるのが、一番手っ取り早いんだがな」
あくまでも出雲は事故であるということを認めない。誰がどう見たって事故だというのに、しかし頑なに認めたがらない。もっとも、それを簡単に認めることができるようならば、こんなこともしなかったのであろうが。
「今から30分――お互いに情報提供をする時間を与える。それ以外は、これまでの流れと変わらない。シンキングタイムの後に休憩を挟んで解答へと移る流れだ。果たして、犯人は明らかになるのか――それは、もう犯人の良心次第ということだな」
一応、クイズ番組としての体裁は、最低限ではあるが守られている。リアルタイムにして30分は長いのかもしれないが、話し合いの機会が与えられるのは大きい。しかも、解答直前のシンキングタイムではなく、公認で30分の猶予があるのはありがたい。
「再現映像を後で見直すことって、可能なんですか?」
公認による30分の議論タイム。そこに意識が行きがちになってしまうが、しっかりと周囲を見て、補完作業に入ったのは眠夢だった。30分の議論は結構なことであるが、そこだけに特化されていても困る。九十九も懸念していた点ではあるが、しかしどうやら眠夢のほうが周囲に気を配る能力に長けているようだ。
「ご希望とあれば何度でも見てもらって構わない。ただし、時間稼ぎのような真似はしないでくれよ」
許された時間は30分。しかも、真相を紐解くためには、それぞれの記憶を掘り起こす必要がある。そもそも、真相が存在しているかさえも不明なのに、なんとも心許ない材料なのだろうか。
自然と一同の視線は小野寺なる男に集まっていた。この男は、明らかに九十九達とは立場が違う。しかも、話に何度も挙がっていた悪徳刑事本人なのだから、この場にいる誰よりも情報源になり得る。仮に単なる事故であったとしても、小野寺は現場に駆けつけていたようだし、何かしらの情報を得ることはできるだろう。もっとも、記憶が戻れば――の話だが。
「あの、正直僕自身、何が起きているのか分からないんです。気持ちの整理も全然できていなくて」
一同から注がれる視線は、当たり前ながら小野寺にとってかなりのプレッシャーとなっていることであろう。やや気圧されるような形で声を絞り出す。
「この土壇場で人が増えたんだ。誰だって戸惑うことくらいはするさ」
長谷川がフォローを入れるかのように言った。
あくまでも出雲は事故であるということを認めない。誰がどう見たって事故だというのに、しかし頑なに認めたがらない。もっとも、それを簡単に認めることができるようならば、こんなこともしなかったのであろうが。
「今から30分――お互いに情報提供をする時間を与える。それ以外は、これまでの流れと変わらない。シンキングタイムの後に休憩を挟んで解答へと移る流れだ。果たして、犯人は明らかになるのか――それは、もう犯人の良心次第ということだな」
一応、クイズ番組としての体裁は、最低限ではあるが守られている。リアルタイムにして30分は長いのかもしれないが、話し合いの機会が与えられるのは大きい。しかも、解答直前のシンキングタイムではなく、公認で30分の猶予があるのはありがたい。
「再現映像を後で見直すことって、可能なんですか?」
公認による30分の議論タイム。そこに意識が行きがちになってしまうが、しっかりと周囲を見て、補完作業に入ったのは眠夢だった。30分の議論は結構なことであるが、そこだけに特化されていても困る。九十九も懸念していた点ではあるが、しかしどうやら眠夢のほうが周囲に気を配る能力に長けているようだ。
「ご希望とあれば何度でも見てもらって構わない。ただし、時間稼ぎのような真似はしないでくれよ」
許された時間は30分。しかも、真相を紐解くためには、それぞれの記憶を掘り起こす必要がある。そもそも、真相が存在しているかさえも不明なのに、なんとも心許ない材料なのだろうか。
自然と一同の視線は小野寺なる男に集まっていた。この男は、明らかに九十九達とは立場が違う。しかも、話に何度も挙がっていた悪徳刑事本人なのだから、この場にいる誰よりも情報源になり得る。仮に単なる事故であったとしても、小野寺は現場に駆けつけていたようだし、何かしらの情報を得ることはできるだろう。もっとも、記憶が戻れば――の話だが。
「あの、正直僕自身、何が起きているのか分からないんです。気持ちの整理も全然できていなくて」
一同から注がれる視線は、当たり前ながら小野寺にとってかなりのプレッシャーとなっていることであろう。やや気圧されるような形で声を絞り出す。
「この土壇場で人が増えたんだ。誰だって戸惑うことくらいはするさ」
長谷川がフォローを入れるかのように言った。
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