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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】
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バスを降りてしまった美奈。取り残されてしまった藤木。確かに、美奈の言う通り、一度後部座席まで運び込んだ荷物を運び出すのには、多少の時間がかかるだろう。しかも、たまたまなのかもしれないが、その時間帯のバスは乗車客が多く、荷物を運び出すには多くの人の迷惑になることが目に見えていた。結局、藤木はそのまま美奈の背中を送り出すことになり、乗るバスが別に別になってしまうことになった。
藤木を乗せたバスが出発する。アーケード街を通り抜ける際、古本屋の前にいる美奈の姿を見つける。まさか、これが最後の別れとなるだなんて、この時の藤木は思いも寄らなかったであろう。
バスに揺られる藤木の姿を映しながら、画面はゆっくりとフェイドアウトしていく。そのままふっと画面が消えた。
「さて、これが今回用意させてもらった再現映像だ。美奈が乗っていたバスに同乗していた人間――つまり、あなたがたのことは、事故が起きたゆえに簡単に調べることができた。しかしながら、バスの中で何が起きたのかまでは調べ上げることができなかった。だから、当然ながら再現映像はない」
静まり返ったスタジオに響く出雲の声。ただでさえ無理難題を突きつけられているというに、さらに面倒ごとを押し付けられた気分になる。ここまでの映像で真相を暴き出せ――とでも言いたいのか。
「一応、途中下車した人間なんかは、警察のツテを使って調べ上げることができたんだよ。近くの監視カメラから家まで追跡してみたりしてな。でも、さすがにバスの中で何が起きていたのかまでは調べ上げることができなかった。むしろ――」
すでに出雲の独壇場であるが、静かに言葉を切った出雲は、次の一言で改めて場を支配していることを主張する。
「バスの中で何が起きたのかは、そちらのほうが詳しいはずだ。真相が判明しない以上、結局のところ全滅するんだ。お互いに当時の記憶を絞り出して、誰が犯人なのかを模索するしかないだろうなぁ」
真相にたどり着けなければ全滅。しかも、正解か否かを決めるのは出雲本人。そもそも、単なる事故を事件化して、存在しない犯人を引っ張り出せと言っているのだ。そんな不可能に近いことを、九十九達は強要されている。
「あんたの中じゃ、事故だったって結論はあり得ないんだよな?」
バスが土砂崩れに巻き込まれ、乗客1人が運悪く死んでしまった。この事故から、出雲が納得する事件の真相を探らねばならない。念のために確認してみた九十九だったが、その言葉に出雲は大きく頷いた。
藤木を乗せたバスが出発する。アーケード街を通り抜ける際、古本屋の前にいる美奈の姿を見つける。まさか、これが最後の別れとなるだなんて、この時の藤木は思いも寄らなかったであろう。
バスに揺られる藤木の姿を映しながら、画面はゆっくりとフェイドアウトしていく。そのままふっと画面が消えた。
「さて、これが今回用意させてもらった再現映像だ。美奈が乗っていたバスに同乗していた人間――つまり、あなたがたのことは、事故が起きたゆえに簡単に調べることができた。しかしながら、バスの中で何が起きたのかまでは調べ上げることができなかった。だから、当然ながら再現映像はない」
静まり返ったスタジオに響く出雲の声。ただでさえ無理難題を突きつけられているというに、さらに面倒ごとを押し付けられた気分になる。ここまでの映像で真相を暴き出せ――とでも言いたいのか。
「一応、途中下車した人間なんかは、警察のツテを使って調べ上げることができたんだよ。近くの監視カメラから家まで追跡してみたりしてな。でも、さすがにバスの中で何が起きていたのかまでは調べ上げることができなかった。むしろ――」
すでに出雲の独壇場であるが、静かに言葉を切った出雲は、次の一言で改めて場を支配していることを主張する。
「バスの中で何が起きたのかは、そちらのほうが詳しいはずだ。真相が判明しない以上、結局のところ全滅するんだ。お互いに当時の記憶を絞り出して、誰が犯人なのかを模索するしかないだろうなぁ」
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「あんたの中じゃ、事故だったって結論はあり得ないんだよな?」
バスが土砂崩れに巻き込まれ、乗客1人が運悪く死んでしまった。この事故から、出雲が納得する事件の真相を探らねばならない。念のために確認してみた九十九だったが、その言葉に出雲は大きく頷いた。
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