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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】
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雨が降りしきる中、駅前へとバスが入ってくる。大きな荷物があるため、まずは藤木がバスに乗り込んだ。わざわざ運転手に話をして荷物を運び込む辺り、スタジオにいる藤木からは想像できない姿だ。果たして、どちらの藤木が本当の藤木なのであろうか。
続いて美奈もバスへと乗り込んだ。荷物は最後部の席へ持っていき、そのまま最後部座席を陣取ってしまう藤木と美奈。この時点で奇妙なことが起き始めていた。確か、事故が起きたバスの後部座席には凛達が座っていたはず。だから、そもそも後部座席に藤木と美奈が座ること自体、おかしいのだ。そこに座っていれば、土砂崩れに巻き込まれることは無かったであろうし。
これまで得た情報と、再現映像の中で食い違う情報。誰しもが不自然さを感じるさなか、ようやく美奈がアクションを起こす。おそらくは時間を確認しようとしたのだろう。ショルダーポーチから携帯電話を取り出す美奈。画面を見つめたまま携帯を操作すると、やや表情にかげりを見せた。
『やだ――。ごめんなさい。私、ちょっと忘れ物をしちゃったみたい』
そう言うと座席から立ち上がる美奈。バスはまだ乗客を乗せている最中で発車していない。
『忘れ物? だったら、このバスは諦めて次のバスに乗るかい?』
美奈が立ち上がったことで、忘れ物を取りに向かう気でいるのは明白。藤木も一緒にバスを降りようとしたが、しかし美奈は首を横に振った。
『――もう荷物も運び込んじゃったし、今から降ろしたりなんなりしてたら他のお客さんの迷惑になっちゃう。今日はもうホテルに向かうだけだし、私は次のバスで向かうから先にホテルに向かっておいて。チェックインの時間もあるし』
せっかくの婚前旅行。どこに行くのだって、共にありたいと思うのが普通だ。藤木は『え、でも――』と食い下がるが、しかし美奈はもう一度首を横に振ると、運転席に向かって『すいません! 降りまーす!』と声を上げてしまった。結局、なかば強引にバスを降りてしまう美奈。取り残された藤木が少しだけかわいそうに見えた。
藤木は気の毒であるが、しかしこれで合点がいった。なぜ、婚前旅行なのに藤木が同行していなかったのか。それは、美奈が忘れ物を取りに向かうということでバスを降りてしまったからだ。こうして、藤木は一足先にホテルへと向かうことになった。だからこそ、次のバスに乗った美奈は後部座席に座らなかったのであるし、1人だったのだ。つまり、この1本遅らせたバスこそが、土砂崩れに巻き込まれる運命にあるバスなのである。
続いて美奈もバスへと乗り込んだ。荷物は最後部の席へ持っていき、そのまま最後部座席を陣取ってしまう藤木と美奈。この時点で奇妙なことが起き始めていた。確か、事故が起きたバスの後部座席には凛達が座っていたはず。だから、そもそも後部座席に藤木と美奈が座ること自体、おかしいのだ。そこに座っていれば、土砂崩れに巻き込まれることは無かったであろうし。
これまで得た情報と、再現映像の中で食い違う情報。誰しもが不自然さを感じるさなか、ようやく美奈がアクションを起こす。おそらくは時間を確認しようとしたのだろう。ショルダーポーチから携帯電話を取り出す美奈。画面を見つめたまま携帯を操作すると、やや表情にかげりを見せた。
『やだ――。ごめんなさい。私、ちょっと忘れ物をしちゃったみたい』
そう言うと座席から立ち上がる美奈。バスはまだ乗客を乗せている最中で発車していない。
『忘れ物? だったら、このバスは諦めて次のバスに乗るかい?』
美奈が立ち上がったことで、忘れ物を取りに向かう気でいるのは明白。藤木も一緒にバスを降りようとしたが、しかし美奈は首を横に振った。
『――もう荷物も運び込んじゃったし、今から降ろしたりなんなりしてたら他のお客さんの迷惑になっちゃう。今日はもうホテルに向かうだけだし、私は次のバスで向かうから先にホテルに向かっておいて。チェックインの時間もあるし』
せっかくの婚前旅行。どこに行くのだって、共にありたいと思うのが普通だ。藤木は『え、でも――』と食い下がるが、しかし美奈はもう一度首を横に振ると、運転席に向かって『すいません! 降りまーす!』と声を上げてしまった。結局、なかば強引にバスを降りてしまう美奈。取り残された藤木が少しだけかわいそうに見えた。
藤木は気の毒であるが、しかしこれで合点がいった。なぜ、婚前旅行なのに藤木が同行していなかったのか。それは、美奈が忘れ物を取りに向かうということでバスを降りてしまったからだ。こうして、藤木は一足先にホテルへと向かうことになった。だからこそ、次のバスに乗った美奈は後部座席に座らなかったのであるし、1人だったのだ。つまり、この1本遅らせたバスこそが、土砂崩れに巻き込まれる運命にあるバスなのである。
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