クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】

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 もし藤木と美奈が同じバスに乗っていたとしたら、当然ながら藤木は美奈の近くに座ることだろう。荷物の都合があるだろうから、隣に座るということはないにしても、必ず近くに座ることになる。つまり、藤木も美奈と一緒に土砂崩れに巻き込まれていた可能性が高い。しかし、こうして本人は目の前にいる。それに、九十九自身を含め、みんなの話を聞いた限りでは、美奈は1人でバスに乗っていた可能性が高い。なぜ、ここまで行動を共にしていたはずの藤木と美奈が、バスに乗った時点でバラバラになってしまったのであろうか。

『じゃあ、荷物を預かってもらえるか、駅で話を聞いてみるよ』

 そう言うと、美奈の荷物を手に取る藤木。再現映像であるから、実際どんなやり取りがあったのかは分からない。しかしながら、少なくとも再現映像の中では、しっかりと美奈のフィアンセをやっているように見えた。自分の荷物を肩からかけつつ、美奈のスーツケースを引っ張る藤木。残された美奈の手元には、おそらく財布などが入った小さなショルダーポーチと、出雲から受け取った茶封筒のみ。

『あ、じゃあ――私、ちょっと用事を済ませてくるね』

 駅に向かう藤木の背中に向かって声をかける美奈。藤木は藤木で、美奈も一緒に来てくれるものだと思っていたのだろう。振り返って『美奈、どこに行くの?』と問う。それに対して美奈は『ちょっとそこのお店に』とアーケード街の方へと視線をやった。それを追いかけるようにしてカメラが動くと、そこには幾つかの店舗が並んでいた。薬局、装飾品店、古本屋、喫茶店に土産屋。美奈は藤木に背を向けて歩き出す。

 場面が切り替わり、藤木が駅の中で駅員と会話をしている映像が流れる。第4問目で取り扱った事件は無人駅を舞台にしていたが、どうやらそこは有人駅のようだった。もっとも、有人駅でなければ、最初から荷物を預けようなんて考えないだろう。どうやら、駅員が荷物を預かることを快諾してくれたらしい。実際、その辺りのルールなどは分からないが、場所によっては融通をきかせてくれるのだろう。

 手ぶらになった藤木は、美奈が向かったアーケード街のほうへと向かう。アーケード街から駅までは屋根で繋がっており、雨の影響を受けないようになっている。しかしながら、空は相変わらずの雨模様。雨が弱まる様子はない。

『あ、ねぇねぇ! すごく美味しいコーヒーを淹れてくれる喫茶店を見つけたの! きっとあなたも気に入るわ!』

 無事に美奈と合流した藤木。美奈の父親がいなくなったからか、遠慮なしに腕を組んできた美奈の姿に、笑みを浮かべる。
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