クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】

最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【出題編】1

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【1】

 ――これから行うのは、答えが存在しないクイズかもしれない。

 解答者一同、自然と視線が合った。長谷川は目が合うと小さく頷いた。アカリは不安げな表情を浮かべるばかりだった。凛は完全に九十九を頼りきっている様子だったし、けれども眠夢だけは――感情が読み取れなかった。ここまできたらやるしかない。犯人が存在しないかもしれない事件に立ち向かうしかないのだ。ここで重要なのは、犯人を探し出すことではなく、おそらく出雲がどれだけ納得できるかということになるだろう。正解なのか不正解なのかは出雲が決めるのだから。

 むろん解答者のほうは、誰もが納得していないことだろう。事故の可能性が高いものを事件だと決めつけ、挙げ句の果てには犯人がいるとまで言い出した。その大前提が間違っているかもしれないというのに、九十九達は犯人を導き出さねばならない。存在しないものを存在させよ――とは、かの一休に向かって屏風の虎を捕らえてみせよと言った殿様のようだ。残念ながら屏風の中から犯人が出てくることなんてない。

「それでは再現映像を見ていただこう。ここにいる解答者の方々は、その理由はそれぞれだったかもしれないが、事故を起こしたバスに乗り合わせていた。さぁ、一体誰なんだ? 誰が娘を殺したんだ?」

 スタジオが暗くなり、モニターに明かりが灯った。いよいよ、正体の掴めぬ幽霊の捕獲作戦が始まる。

『その日は朝から酷い雨でした。出雲美奈いずもみなさん――結婚を間近に控えていた彼女は、婚前旅行に向かうことになっていました。けれども、当日はあいにくの雨。旅にハプニングはつきものなのかもしれませんが、さらにトラブルが発生します』

 真っ暗な画面に白文字が浮かび、いつもの声のナレーションが流れる。この声、結局誰だったのか分からずじまいだったが、この声ともいよいよ別れの時だ。きっと外注にでも出して、何も事情を知らない会社が引き受けたのであろう。まぁ、ミステリークイズの再現映像であることは、誰が見ても明らかであるし、そこまで不審にも思われなかったに違いない。こんなことに使われていると、携わった人達が知らないことが幸いである。

 画面が切り替わり、場面はどこかの一軒家らしき玄関先へと切り替わる。画面の左端に【一部は本人による再現映像です】とテロップが出た。玄関先には、旅行バッグを持った女性の姿があったが、さすがにこの人は本人による再現ではないだろう。本人が存命なら、そもそもこんなことにはなっていなかったであろうし。
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