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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【プロローグ】
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出雲は九十九のほうへと視線を向けると「さすが、全問正解男は違うねぇ」と笑みを浮かべた。これまでの全てをモニタリングされていたのであろう。
「お察しの通り、伊良部柚木の事件に関しては、俺が手引きしてやったんだ。もちろん、悪徳刑事のように事件を迷宮入りにするのも忘れないようにな――」
九十九がこれまで立てた推論が、パズルのピースであるかのごとく音を立てながらはまっていく。もう、ここまできたら狂気であるとしか言えない。まさかとは思っていたが、出雲はクイズの数を増やすためだけに、柚木を手引きしたのである。手引きされるほうに問題があるのはもちろんであるが、手引きするほうは――明らかに頭のネジが抜けている。
「まぁ、それでも問題が足りず、予備のために作り上げておいた、でっち上げ――実際には起きてもいない事件まで引っ張り出してしまったわけだがな。正直、ここまで長期戦になるなんて微塵も思っていなかった」
出雲はそこで言葉を区切ると、解答席をぐるりと見渡す。
「この中に潜んでいる、娘を殺した犯人さえ名乗り出れば、こんなことさっさと終わりにしてやったのに! この期に及んでも名乗り出ようともしない! おまけに、そこに座ってる小野寺は自分の記憶を取り戻すことさえできない間抜けときたもんだ!」
ただでさえマイクで反響している出雲の声が、怒り混じりの怒号へと変わる。思わず耳を塞ぎたくなるが、しかし九十九はあえて出雲のことを睨みつけた。つまり、この出雲という男は、娘を殺した犯人を見つけ出したい一心で、こんなことをやったわけだ。そして、その事件に関与していなければ、九十九はこんな目に遭わなかった。そう考え出すと腹が立つ。なぜなら、出雲の言っている、娘が殺された事件というのは、おそらく――。
「あの、ちょっと待ってもらえませんか? これまでの情報を統合して考えるに、えっと……出雲さんが言っている事件とは、きっと私達の共通点に関与していると思うのですが、そもそもあれは――事故なんじゃないですか?」
きっと、眠夢が核心を突かなければ、九十九が突いていたことであろう。そう、彼女の言う通りだ。これまでの話の流れからして、出雲の言う事件とは、あの土砂崩れにバスが巻き込まれた事故のことを指していると思われる。そして、あの時に死亡してしまった女性が出雲の娘ということになるだろう。しかしながら、もしそうであればお門違いもいいところ。あれは事故であって、犯人など存在しないはずなのだから。
「お察しの通り、伊良部柚木の事件に関しては、俺が手引きしてやったんだ。もちろん、悪徳刑事のように事件を迷宮入りにするのも忘れないようにな――」
九十九がこれまで立てた推論が、パズルのピースであるかのごとく音を立てながらはまっていく。もう、ここまできたら狂気であるとしか言えない。まさかとは思っていたが、出雲はクイズの数を増やすためだけに、柚木を手引きしたのである。手引きされるほうに問題があるのはもちろんであるが、手引きするほうは――明らかに頭のネジが抜けている。
「まぁ、それでも問題が足りず、予備のために作り上げておいた、でっち上げ――実際には起きてもいない事件まで引っ張り出してしまったわけだがな。正直、ここまで長期戦になるなんて微塵も思っていなかった」
出雲はそこで言葉を区切ると、解答席をぐるりと見渡す。
「この中に潜んでいる、娘を殺した犯人さえ名乗り出れば、こんなことさっさと終わりにしてやったのに! この期に及んでも名乗り出ようともしない! おまけに、そこに座ってる小野寺は自分の記憶を取り戻すことさえできない間抜けときたもんだ!」
ただでさえマイクで反響している出雲の声が、怒り混じりの怒号へと変わる。思わず耳を塞ぎたくなるが、しかし九十九はあえて出雲のことを睨みつけた。つまり、この出雲という男は、娘を殺した犯人を見つけ出したい一心で、こんなことをやったわけだ。そして、その事件に関与していなければ、九十九はこんな目に遭わなかった。そう考え出すと腹が立つ。なぜなら、出雲の言っている、娘が殺された事件というのは、おそらく――。
「あの、ちょっと待ってもらえませんか? これまでの情報を統合して考えるに、えっと……出雲さんが言っている事件とは、きっと私達の共通点に関与していると思うのですが、そもそもあれは――事故なんじゃないですか?」
きっと、眠夢が核心を突かなければ、九十九が突いていたことであろう。そう、彼女の言う通りだ。これまでの話の流れからして、出雲の言う事件とは、あの土砂崩れにバスが巻き込まれた事故のことを指していると思われる。そして、あの時に死亡してしまった女性が出雲の娘ということになるだろう。しかしながら、もしそうであればお門違いもいいところ。あれは事故であって、犯人など存在しないはずなのだから。
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