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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【プロローグ】

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 出雲の言葉を聞きながら、無意識に答え合わせをする九十九。何もない状況から推測した割には、そこそこ考え方としては間違ってはいなかったらしい。悪徳刑事という存在がいて、その刑事は自分の管轄内で事件の隠蔽を図っていた。それこそが、九十九の隣に座った小野寺ということか。記憶を失っている――というのが、大きく予測とは異なっていたが。

「管轄内の事件――それこそ、入念に捜査さえすれば解決に導けたような事件だったにも関わらず、捜査継続という形になる事件が、ある時を境にちらほらと出始めた。それと同時に、小野寺のやつが急に羽振りが良くなってな。しかも、金銭を享受して、事件を隠蔽しているとんでないやつがいる……なんて噂を小耳に挟んだんだ。俺は独自にそのことについて調べ始めた。最初こそ正義感というものに駆られていたのかもしれない」

 小野寺が悪徳刑事であり、それについては出雲も気づいていた。きっと、仕事の合間を縫って、調べ続けていたのであろう。

「そんな矢先のことだ。俺の娘が殺されたのは――な。しかも、当時俺は他の現場に出張っていて、現場に駆けつけてやれなかった。その代わりに現場へと駆けつけたのは、俺が悪徳刑事ではないかと疑っていた小野寺だったんだ。その結果、娘が殺された事件はどう処理されたと思う? 事故として処理されたんだよ」

 そこで言葉を区切る出雲。悔しそうに歯を強く噛み締めているように見えた。とにもかくにも、今は出雲の口から語られる真相に耳を傾けるしかなかった。

「俺だって人の親だ。当然だが頭に来たし、小野寺のことを告発し、捜査のやり直しを求めようと考えた。だが、まるで見計らったかのように小野寺は自損事故を起こして記憶を失った。捜査のやり直しを提言したが、警察ってのは一度決定づけた答えを覆すことを嫌う。結局のところ、娘の事件についての再捜査は実現しなかった」

 淡々と続く出雲の独白。見ず知らずの1人の男の人生を襲った悲劇は、まるで連鎖をするかのように悪い方向へと傾いた。その結果――ここに九十九達がいるのかもしれない。

「娘の事件にどんな人間が関与していたのかは把握していたし、事件の概要も頭に入っていた。例え小野寺の手によって隠蔽されていたとしても、必ず真相を掴む。そのために俺はある計画を思いついた。そして、それを実行すべく俺は動き始めたんだ」

 あぁ、ようやく合点がいった。出雲の言葉に頷いた九十九も、口を挟むべきではないと思いながらも、一言だけ出雲のほうへと放り投げた。
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