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第4問 死神と駅の中で【エピローグ】

第4問 死神と駅の中で【エピローグ】1

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 これほどまで見事な尻切りトンボがあったことだろうか。番組が終了してしまった画面を眺めつつ、呆気に取られる小野寺。ここまで消化不良の回は初めてだ。内容的にも、次回まで引っ張るようなものではないように思える。

「今回は随分と――拍子抜けというか、明日までお預けという形になってしまいましたね」

 ここに軟禁されている以上、やることといえば毎日同じ時間に放送される番組を見ることくらい。インスタント食品ではあるが食糧は沢山あるし、水にも困らない。寝床はやや窮屈ではあるが、風呂に入ることもできるし、やろうと思えば洗濯もできる。暇を持て余すという点を除けば、中々に快適な軟禁生活である。

「そうだな――」

 出雲はそう言うと、気だるそうに立ち上がる。そして、食糧庫のほうへと消えていった。大方、煙草がきれてしまったから補充しに向かったのであろう。今はまだいいが、もうしばらくしたら、煙草だけでもお互いに管理するようにしなければならないかもしれない。そうしないと、煙草なんてあっと言う間に無くなってしまうことだろう。

 しばらくすると食糧庫から出雲が戻ってくる。きっと、小野寺に注意されるとでも思っているのだろう。右手を後ろ手にして隠しているが、どうせそこには煙草のケースが握られているに違いない。

「それにしても、トリックに関しては大正解だったな。まぁ、ちょっとばかり足りない部分もあったが――」

 まだ右手を後ろ手に隠している出雲。その分かりきった仕草に、溜め息と同時に苦笑いを浮かべる小野寺。あえてそれには触れずに返した。

「ただ、疑問というか……まぁ、一応、藤木が犯人だと示唆するためという理由はあったわけですけど、なぜここに来て事件のでっち上げ――実際には起きてもいない事件を作り上げたんでしょうね?」

 事件を創作することで、犯人が解答者でなくともいいようにルールを回避した――というのは理由として理解はできる。しかし、そもそもそ第4問目で藤木が退場してしまった場合、その後はどうするつもりなのであろうか。

 出雲が足早に小野寺の背後のほうへと移動した。煙草を調達したことを知られたくないのだろうが、はっきり言って丸わかりである。もう少しうまくやればいいのに――そんなことを考えていた小野寺の後頭部に、何か冷たいものが当たる。その後に続いた出雲の言葉も、なんだか凄く冷たく聞こえたような気がした。

「それはな……もうクイズにする事件がなかったからだよ」
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