クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

文字の大きさ
上 下
433 / 506
第4問 死神と駅の中で【解答編】

20

しおりを挟む
 誰もが固唾をのんで見守る中、想定外のことが起こった。藤木はややカメラに近寄ると、全力で両手を振る。

「なんと次回へと続きます! 明日もまた同じ時間で――というと、なんか変なことになってしまうのか。とにかく、本日はこれまで! また次回お会いしましょう!」

 一同が呆気に取られるなか、実に滑稽で人を小馬鹿にしたようなジングルが流れる。カメラに向かって手を振り続けていた藤木は「それではまたー!」と叫ぶ。それと同時にBGMはピタリと止み、そして藤木のスイッチも切り替わった。カメラが止まったらしい。

「――さて、そういうわけですので、運命の答え合わせは次回といたしましょう。少々、こちらも時間を調整する必要がありますので」

 藤木はそう言うと、いつものようにスタジオの外に向かって歩き出す。もちろん、それをそのまま見送るなんてことはできない。

「おい、自分が不利になった途端、勝手に次回まで引き伸ばすなんて、卑怯だと思わないのか?」

 九十九より先に長谷川が口を開いた。それに追従するかのように凛が続く。

「これまで1回で完結してたんだから、今回も1回で完結させるのが筋じゃないの?」

 藤木の背中に向かってそれぞれに文句をぶつける。藤木は面倒くさそうに振り返った。

「――ですから、時間を調整する必要があると言っているでしょう? 今の段階で答え合わせをしようとしてもね、色々と都合が悪いのです」

 これまで、次回まで答えを引っ張ることなんてなかった。それなのに、どうして今回に限って、次回へと引き伸ばしたのか。答えが図星であり、少しでも降板までの時間稼ぎをしたいのか。或いは、何かしらの事情があるのか。それにしても、時間調整とは、どういうことだろうか。

「あ、ちなみに次回はいつもよりも短いスパンで始まることになると思います。まぁ、今回は誰も降板されることはありませんし、指示があるまでゆっくり休まれたほうがいいでしょうね」

 今回は答え合わせが次回へと引き伸ばされたおかげで、誰も降板しない。もちろん、正解者への現物支給もなければ、紙切れ同然の小切手の配布も行われない。

「では、また次回お会いしましょう。心配せずとも、私は逃げも隠れもしませんから」

 果たして彼にどんな意図があるのか。重く大きなスタジオの扉が開き、その向こう側に消える藤木の姿を、九十九達はただ見守ることしかできなかったのであった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

それは奇妙な町でした

ねこしゃけ日和
ミステリー
 売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。  バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。  猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。

わたくしのご主人様はヴァンパイアでございます

古池ケロ太
ミステリー
 わたくしのご主人様は、ヴァンパイアでございます――。  古城に仕える「わたくし」は、優雅なヴァンパイアのご主人様に忠誠を誓う下僕。訪れる戦士や魔術師、そして最後の訪問者――繰り返される決闘の果てに明かされる“真実”とは。血と主従の物語が今、蠢き出す。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

処理中です...