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第4問 死神と駅の中で【解答編】
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誰もが固唾をのんで見守る中、想定外のことが起こった。藤木はややカメラに近寄ると、全力で両手を振る。
「なんと次回へと続きます! 明日もまた同じ時間で――というと、なんか変なことになってしまうのか。とにかく、本日はこれまで! また次回お会いしましょう!」
一同が呆気に取られるなか、実に滑稽で人を小馬鹿にしたようなジングルが流れる。カメラに向かって手を振り続けていた藤木は「それではまたー!」と叫ぶ。それと同時にBGMはピタリと止み、そして藤木のスイッチも切り替わった。カメラが止まったらしい。
「――さて、そういうわけですので、運命の答え合わせは次回といたしましょう。少々、こちらも時間を調整する必要がありますので」
藤木はそう言うと、いつものようにスタジオの外に向かって歩き出す。もちろん、それをそのまま見送るなんてことはできない。
「おい、自分が不利になった途端、勝手に次回まで引き伸ばすなんて、卑怯だと思わないのか?」
九十九より先に長谷川が口を開いた。それに追従するかのように凛が続く。
「これまで1回で完結してたんだから、今回も1回で完結させるのが筋じゃないの?」
藤木の背中に向かってそれぞれに文句をぶつける。藤木は面倒くさそうに振り返った。
「――ですから、時間を調整する必要があると言っているでしょう? 今の段階で答え合わせをしようとしてもね、色々と都合が悪いのです」
これまで、次回まで答えを引っ張ることなんてなかった。それなのに、どうして今回に限って、次回へと引き伸ばしたのか。答えが図星であり、少しでも降板までの時間稼ぎをしたいのか。或いは、何かしらの事情があるのか。それにしても、時間調整とは、どういうことだろうか。
「あ、ちなみに次回はいつもよりも短いスパンで始まることになると思います。まぁ、今回は誰も降板されることはありませんし、指示があるまでゆっくり休まれたほうがいいでしょうね」
今回は答え合わせが次回へと引き伸ばされたおかげで、誰も降板しない。もちろん、正解者への現物支給もなければ、紙切れ同然の小切手の配布も行われない。
「では、また次回お会いしましょう。心配せずとも、私は逃げも隠れもしませんから」
果たして彼にどんな意図があるのか。重く大きなスタジオの扉が開き、その向こう側に消える藤木の姿を、九十九達はただ見守ることしかできなかったのであった。
「なんと次回へと続きます! 明日もまた同じ時間で――というと、なんか変なことになってしまうのか。とにかく、本日はこれまで! また次回お会いしましょう!」
一同が呆気に取られるなか、実に滑稽で人を小馬鹿にしたようなジングルが流れる。カメラに向かって手を振り続けていた藤木は「それではまたー!」と叫ぶ。それと同時にBGMはピタリと止み、そして藤木のスイッチも切り替わった。カメラが止まったらしい。
「――さて、そういうわけですので、運命の答え合わせは次回といたしましょう。少々、こちらも時間を調整する必要がありますので」
藤木はそう言うと、いつものようにスタジオの外に向かって歩き出す。もちろん、それをそのまま見送るなんてことはできない。
「おい、自分が不利になった途端、勝手に次回まで引き伸ばすなんて、卑怯だと思わないのか?」
九十九より先に長谷川が口を開いた。それに追従するかのように凛が続く。
「これまで1回で完結してたんだから、今回も1回で完結させるのが筋じゃないの?」
藤木の背中に向かってそれぞれに文句をぶつける。藤木は面倒くさそうに振り返った。
「――ですから、時間を調整する必要があると言っているでしょう? 今の段階で答え合わせをしようとしてもね、色々と都合が悪いのです」
これまで、次回まで答えを引っ張ることなんてなかった。それなのに、どうして今回に限って、次回へと引き伸ばしたのか。答えが図星であり、少しでも降板までの時間稼ぎをしたいのか。或いは、何かしらの事情があるのか。それにしても、時間調整とは、どういうことだろうか。
「あ、ちなみに次回はいつもよりも短いスパンで始まることになると思います。まぁ、今回は誰も降板されることはありませんし、指示があるまでゆっくり休まれたほうがいいでしょうね」
今回は答え合わせが次回へと引き伸ばされたおかげで、誰も降板しない。もちろん、正解者への現物支給もなければ、紙切れ同然の小切手の配布も行われない。
「では、また次回お会いしましょう。心配せずとも、私は逃げも隠れもしませんから」
果たして彼にどんな意図があるのか。重く大きなスタジオの扉が開き、その向こう側に消える藤木の姿を、九十九達はただ見守ることしかできなかったのであった。
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