400 / 506
第4問 死神と駅の中で【出題編】
33
しおりを挟む
「それに、こうして監視カメラ越しに――しかも、全員が目出し帽だなんてふざけた格好をしているから犯人が分からないだけで、そもそも現場には犯人以外の人間もいたわけだろ? ホームだけでも2人、事件直後に2人がホームに駆けつけてる。だったら、誰かが犯人の姿を目撃していてもおかしくはない。むしろ、誰の目にも触れずに駅から外に逃げ出すことは不可能だ」
藤木の言葉を待たずに続ける九十九。藤木は九十九のほうをじっと見つめたまま微動だにしない。
現場には犯人と被害者以外にも人がいた。しかも、事件が起きた時、たまたま駅舎の外には2人もの人間がおり、しかも事件が起きると同時にホームに向かって走り出しているのだ。仮に被害者をホームから突き落とした後、たまたま監視カメラに映らないような形で駅の外に出るにしても、必ず誰かしらの目に留まったはずである。ホームにだって人がいたのだから、下手をすれば犯行現場を目撃された可能性だってある。警察だって、事件が起きた時の目撃証言というものは重視するだろう。だとすれば、この事件を起こした犯人は簡単に捕まったはずだ。そもそも未解決というのがおかしいのである。
「目撃証言を集め、監視カメラをしっかり検証することができれば、こんな事件は未解決にならなかった。でも、実際に事件は未解決として処理されてしまった。なぜそんなことが起きたのか――やっぱり、俺の口から話すとペナルティーになるか?」
あえて挑発する。おそらく、このクイズ番組の全貌を把握しているであろう藤木に対して、ここで九十九は探りを入れる。目撃証言は簡単に集まるような状況だった。それにくわえて、監視カメラの映像だって、解析すれば犯人を絞り込めたはずだ。仮に事件が発生した当時、容疑者全員が他のカメラに映り込むという奇妙なことが起きていたとしても、被害者を突き落とした人物さえ分析できていれば、謎は謎にさえならなかったはずだ。
「いいえ――今回は特別に許可しましょうか。それだけ難問ですから」
藤木はそう言うと、気味の悪い笑みを浮かべた。断られたところで意図は通じるだろうと踏んでいた九十九であるが、許可を得たことで堂々と真意を周囲へと伝えることができるようになった。
「つまり、この事件には悪徳刑事やらが絡んでる。簡単に解決したはずの事件を未解決に追いやった刑事がな」
九十九の言葉に、誰かが固唾を飲み、そして誰かが答え合わせをしたかのごとく、大きな溜め息を落とした。
藤木の言葉を待たずに続ける九十九。藤木は九十九のほうをじっと見つめたまま微動だにしない。
現場には犯人と被害者以外にも人がいた。しかも、事件が起きた時、たまたま駅舎の外には2人もの人間がおり、しかも事件が起きると同時にホームに向かって走り出しているのだ。仮に被害者をホームから突き落とした後、たまたま監視カメラに映らないような形で駅の外に出るにしても、必ず誰かしらの目に留まったはずである。ホームにだって人がいたのだから、下手をすれば犯行現場を目撃された可能性だってある。警察だって、事件が起きた時の目撃証言というものは重視するだろう。だとすれば、この事件を起こした犯人は簡単に捕まったはずだ。そもそも未解決というのがおかしいのである。
「目撃証言を集め、監視カメラをしっかり検証することができれば、こんな事件は未解決にならなかった。でも、実際に事件は未解決として処理されてしまった。なぜそんなことが起きたのか――やっぱり、俺の口から話すとペナルティーになるか?」
あえて挑発する。おそらく、このクイズ番組の全貌を把握しているであろう藤木に対して、ここで九十九は探りを入れる。目撃証言は簡単に集まるような状況だった。それにくわえて、監視カメラの映像だって、解析すれば犯人を絞り込めたはずだ。仮に事件が発生した当時、容疑者全員が他のカメラに映り込むという奇妙なことが起きていたとしても、被害者を突き落とした人物さえ分析できていれば、謎は謎にさえならなかったはずだ。
「いいえ――今回は特別に許可しましょうか。それだけ難問ですから」
藤木はそう言うと、気味の悪い笑みを浮かべた。断られたところで意図は通じるだろうと踏んでいた九十九であるが、許可を得たことで堂々と真意を周囲へと伝えることができるようになった。
「つまり、この事件には悪徳刑事やらが絡んでる。簡単に解決したはずの事件を未解決に追いやった刑事がな」
九十九の言葉に、誰かが固唾を飲み、そして誰かが答え合わせをしたかのごとく、大きな溜め息を落とした。
0
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
それは奇妙な町でした
ねこしゃけ日和
ミステリー
売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。
バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。
猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
わたくしのご主人様はヴァンパイアでございます
古池ケロ太
ミステリー
わたくしのご主人様は、ヴァンパイアでございます――。
古城に仕える「わたくし」は、優雅なヴァンパイアのご主人様に忠誠を誓う下僕。訪れる戦士や魔術師、そして最後の訪問者――繰り返される決闘の果てに明かされる“真実”とは。血と主従の物語が今、蠢き出す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる