396 / 506
第4問 死神と駅の中で【出題編】
29
しおりを挟む
もっと細かく分析すると、1番カメラの映像が流れるのは、0秒から30秒、2分から2分30秒、4分から4分30秒、6分から6分30秒、8分から8分30秒の2分と30秒。他のカメラも時間がずれるだけであり、どの映像も基本的に2分30秒ずつとなる。ただし、特殊ルールにより、同時刻における全ての映像が追加されているから、1番、2番、3番のカメラはそれぞれ3分間の映像が把握できていることになる。元々公開されていた4番のカメラのみ、2分30秒分しか把握できていない。
4番カメラにおいて犯人が被害者を線路に突き落とすのは7分30秒から8分の間。この30秒間こそ、特殊ルールにより他のカメラの映像も公開されている時間帯になる。そして、その後の映像がそれぞれ30秒ずつ流れて監視カメラの映像は終わりとなるわけだ。
九十九はそこまで整理をすると、ようやく映像の確認を始めた。他のみんなも、それぞれ考えるところがあるのか、じっと黙ったまま映像を見つめている。ささいなことでも構わないから、気づいたことがあったら言ってほしい――なんて、もうわざわざ言う必要もないのだろう。
まず1番カメラだ。最初の30秒間は、誰もいない駅の出入り口を映している。パラパラ漫画のように車が前の通りを走り抜ける程度だ。ノイズのように見えるのは雨だろう。続いて2分から2分30秒までの映像。ほとんど変わりはないのであるが、駅の出入り口に目出し帽が立っている。容疑者の名前は近藤だったはずである。この映像の際に近藤のことが紹介されたのだから、まず間違いない。
ひとつの映像として繋げるかのごとく、断片的な映像を頭の中で結びつけていく。4分から4分30秒の映像。映っている目出し帽は1人だ。断定はできないが、これも近藤だと考えられる。他の映像で人の動きを確認しないといけないが、流れとしてはそのまま近藤がそこにいたと考えたいところ。
それにしても、雨の降る中、駅舎の軒先で何をやっているのだろうか。荒い画質ながら、その動きを観察する。どうやら、煙草を吸っているらしい。よく見ると、屋外用の灰皿らしきものが見受けられる。今は喫煙者にとって肩身の狭い世の中になっている。どこでも好き放題に吸えるなんてことはないから、駅舎の軒先が喫煙所になっているのだろう。今現在はもっと煙草に対して厳しいわけであるが、しっかりと喫煙所が設けられていることから察するに、そこまで昔の映像ではないようだ。
4番カメラにおいて犯人が被害者を線路に突き落とすのは7分30秒から8分の間。この30秒間こそ、特殊ルールにより他のカメラの映像も公開されている時間帯になる。そして、その後の映像がそれぞれ30秒ずつ流れて監視カメラの映像は終わりとなるわけだ。
九十九はそこまで整理をすると、ようやく映像の確認を始めた。他のみんなも、それぞれ考えるところがあるのか、じっと黙ったまま映像を見つめている。ささいなことでも構わないから、気づいたことがあったら言ってほしい――なんて、もうわざわざ言う必要もないのだろう。
まず1番カメラだ。最初の30秒間は、誰もいない駅の出入り口を映している。パラパラ漫画のように車が前の通りを走り抜ける程度だ。ノイズのように見えるのは雨だろう。続いて2分から2分30秒までの映像。ほとんど変わりはないのであるが、駅の出入り口に目出し帽が立っている。容疑者の名前は近藤だったはずである。この映像の際に近藤のことが紹介されたのだから、まず間違いない。
ひとつの映像として繋げるかのごとく、断片的な映像を頭の中で結びつけていく。4分から4分30秒の映像。映っている目出し帽は1人だ。断定はできないが、これも近藤だと考えられる。他の映像で人の動きを確認しないといけないが、流れとしてはそのまま近藤がそこにいたと考えたいところ。
それにしても、雨の降る中、駅舎の軒先で何をやっているのだろうか。荒い画質ながら、その動きを観察する。どうやら、煙草を吸っているらしい。よく見ると、屋外用の灰皿らしきものが見受けられる。今は喫煙者にとって肩身の狭い世の中になっている。どこでも好き放題に吸えるなんてことはないから、駅舎の軒先が喫煙所になっているのだろう。今現在はもっと煙草に対して厳しいわけであるが、しっかりと喫煙所が設けられていることから察するに、そこまで昔の映像ではないようだ。
0
お気に入りに追加
183
あなたにおすすめの小説
ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―
鬼霧宗作
ミステリー
窓辺野コトリは、窓辺野不動産の社長令嬢である。誰もが羨む悠々自適な生活を送っていた彼女には、ちょっとだけ――ほんのちょっとだけ、人がドン引きしてしまうような趣味があった。
事故物件に異常なほどの執着――いや、愛着をみせること。むしろ、性的興奮さえ抱いているのかもしれない。
不動産会社の令嬢という立場を利用して、事故物件を転々とする彼女は、いつしか【ロンダリングプリンセス】と呼ばれるようになり――。
これは、事故物件を心から愛する、ちょっとだけ趣味の歪んだ御令嬢と、それを取り巻く個性豊かな面々の物語。
※本作品は他作品【猫屋敷古物商店の事件台帳】の精神的続編となります。本作から読んでいただいても問題ありませんが、前作からお読みいただくとなおお楽しみいただけるかと思います。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ミノタウロスの森とアリアドネの嘘
鬼霧宗作
ミステリー
過去の記録、過去の記憶、過去の事実。
新聞社で働く彼女の元に、ある時8ミリのビデオテープが届いた。再生してみると、それは地元で有名なミノタウロスの森と呼ばれる場所で撮影されたものらしく――それは次第に、スプラッター映画顔負けの惨殺映像へと変貌を遂げる。
現在と過去をつなぐのは8ミリのビデオテープのみ。
過去の謎を、現代でなぞりながらたどり着く答えとは――。
――アリアドネは嘘をつく。
(過去に別サイトにて掲載していた【拝啓、15年前より】という作品を、時代背景や登場人物などを一新してフルリメイクしました)
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
消された過去と消えた宝石
志波 連
ミステリー
大富豪斎藤雅也のコレクション、ピンクダイヤモンドのペンダント『女神の涙』が消えた。
刑事伊藤大吉と藤田建造は、現場検証を行うが手掛かりは出てこなかった。
後妻の小夜子は、心臓病により車椅子生活となった当主をよく支え、二人の仲は良い。
宝石コレクションの隠し場所は使用人たちも知らず、知っているのは当主と妻の小夜子だけ。
しかし夫の体を慮った妻は、この一年一度も外出をしていない事は確認できている。
しかも事件当日の朝、日課だったコレクションの確認を行った雅也によって、宝石はあったと証言されている。
最後の確認から盗難までの間に人の出入りは無く、使用人たちも徹底的に調べられたが何も出てこない。
消えた宝石はどこに?
手掛かりを掴めないまま街を彷徨っていた伊藤刑事は、偶然立ち寄った画廊で衝撃的な事実を発見し、斬新な仮説を立てる。
他サイトにも掲載しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACの作品を使用しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる