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第4問 死神と駅の中で【出題編】

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 さらに九十九は踏み込んで問いただそうとするが、しかし「これ以上、私に対する質問はご遠慮願えますかね? 番組とは関係ありませんので」との、藤木の強めの口調を聞いて思いとどまった。正式に口には出さなかったが、これ以上踏み込んだらペナルティーが生じるかもしれない。なんとなく、そう思えてしまうほど、藤木の言葉には凄みがあった。

 まるで別角度から、番組そのものに隠された謎を解明してやろうと思ったが、それは言わば神の領域なのかもしれない。解答者は解答者らしく、素直に番組から出題されるクイズに答えていろ――ということか。もちろん、俗にいう余計な詮索を諦めるつもりはない。けれども、今はその時ではない――踏み込むべきタイミングではないと九十九は判断した。

 ――今はただ、監視カメラの映像を眺めるしかないのだろうか。仮に注視するのだとすれば、やはり事件が起きる前後ということになるだろう。藤木の言うことを素直に聞くようで面白くはないが、しかし今は番組の進行に従うしかない。

 幸いなことに、監視カメラの映像は何度も見返すことが許されている。希望とあれば、好きなタイミングで映像を停めることもオッケーだ。だからこそ、ゆっくりと見極める。番組の後半に特殊ルールが用意されていることを踏まえた上で、犯人を探し出すのだ。

 荒い画質。音声なし。しかもフレームレートが恐ろしく低いせいで、パラパラ漫画のような動きにしかならない映像。あまりにも頼りないものであるが、しかし与えられた情報がこれである以上、なんとか正解を導き出さねばならない。そのためには、情報そのものを整理する必要がある。

 まず、映像そのものの長さを把握しておく必要があるだろう。監視カメラの再現映像という奇妙な構図であるがゆえに、本来なら監視カメラで分かるような情報――時間などが表示されていない。となると、映像が始まる地点をゼロとして、単純に何回映像が切り替わったのかをカウントすればいい。映像が切り替わるのは30秒ごとなのだから。

 内容のほうにはまるで意識を向けず、映像の切り替わりだけを意識する。映像が終わり、また冒頭に戻る際には、明らかに長いブラックアウトが生じる。それは掌握済みだ。映像の始まりから終わりまでの切り替わりが何度行われるか数えることができれば、映像の尺の長さも自然と算出される。1番カメラから始まって4番カメラで終わるローテーションは、それをワンセットとして2分。どうやら、それを5回繰り返す長さになるようだ。すなわち、実質的な映像の長さは10分ということになる。
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