392 / 506
第4問 死神と駅の中で【出題編】
25
しおりを挟む
藤木がボツにしたという特殊ルール。それについて、九十九はさらに突っ込んで問う。
「さっきの音声版と考えればいいか? それと、こいつを実際に採用したとして、何かデメリットが生じることは?」
ここまで来ると、ルールの確認というよりも交渉である。ホストである藤木から、いかに情報を賢く引き出せるか。そして、藤木は藤木で、どこまでそれを許可するのか。なぜだか、番組を盛り上げることを意識している藤木にとっても、これは駆け引きとなっていることだろう。
「そう考えていただいて結構です。だったら、最初から全部の映像で音声を出しておけよ――というクレームは受け付けません。ちょっと都合が悪いので、全ての映像から音声のみを排除させてもらってあります。ちなみに、解答者の方にデメリットは全くありません。盛り上がりには欠けますが」
先ほどの特殊ルールの音声版。ということは、同じ時間帯――4つの監視カメラが拾った音声を確認できるということか。流れが同じであれば、1番カメラから順番に、4番カメラまで30秒区切りで音声が流れることになる。それにしても、再現映像から音声を排除した理由とはなんなのであろうか。そもそも逆説的に、4つの監視カメラの音声を、それぞれ30秒ずつ確認できたところで何になるのだろうか。すなわち、この特殊ルールに必要性を感じない。だからこそ、藤木はボツにしたのかもしれない。画としても微妙になるだろうし、番組が盛り下がること間違いなしだ。
「デメリットはないってことだが――どうする? 俺としては、今の情報量だけじゃ話にならないし、ボツになった特殊ルールをここで拾い上げておくほうがいいと思うんだが」
デメリットが生じず、役に立つかどうかは別にして情報量が増えるのであれば、その特殊ルールを拾い上げない理由はない。九十九の提案に反論意見はなかった。むしろ、目が合ったアカリなんて力強く頷いたくらいだ。反論意見がない時点で、満場一致と考えていいだろう。
「藤木、俺達の総意は見た通りだ。そのボツとなった特殊ルール――追加で」
それがどれだけ役に立つものかは分からない。まるで情報として役に立たない可能性だってある。けれども、今は少しでも情報が欲しい。これまでと違い、どうも4問目はおかしいのだ。与えられる情報などのシステム周りでの難易度が、これまでの問題とは桁違いに高い。ゆえに、ボツになった特殊ルールだとしても、追加できる情報は追加したかった。
「さっきの音声版と考えればいいか? それと、こいつを実際に採用したとして、何かデメリットが生じることは?」
ここまで来ると、ルールの確認というよりも交渉である。ホストである藤木から、いかに情報を賢く引き出せるか。そして、藤木は藤木で、どこまでそれを許可するのか。なぜだか、番組を盛り上げることを意識している藤木にとっても、これは駆け引きとなっていることだろう。
「そう考えていただいて結構です。だったら、最初から全部の映像で音声を出しておけよ――というクレームは受け付けません。ちょっと都合が悪いので、全ての映像から音声のみを排除させてもらってあります。ちなみに、解答者の方にデメリットは全くありません。盛り上がりには欠けますが」
先ほどの特殊ルールの音声版。ということは、同じ時間帯――4つの監視カメラが拾った音声を確認できるということか。流れが同じであれば、1番カメラから順番に、4番カメラまで30秒区切りで音声が流れることになる。それにしても、再現映像から音声を排除した理由とはなんなのであろうか。そもそも逆説的に、4つの監視カメラの音声を、それぞれ30秒ずつ確認できたところで何になるのだろうか。すなわち、この特殊ルールに必要性を感じない。だからこそ、藤木はボツにしたのかもしれない。画としても微妙になるだろうし、番組が盛り下がること間違いなしだ。
「デメリットはないってことだが――どうする? 俺としては、今の情報量だけじゃ話にならないし、ボツになった特殊ルールをここで拾い上げておくほうがいいと思うんだが」
デメリットが生じず、役に立つかどうかは別にして情報量が増えるのであれば、その特殊ルールを拾い上げない理由はない。九十九の提案に反論意見はなかった。むしろ、目が合ったアカリなんて力強く頷いたくらいだ。反論意見がない時点で、満場一致と考えていいだろう。
「藤木、俺達の総意は見た通りだ。そのボツとなった特殊ルール――追加で」
それがどれだけ役に立つものかは分からない。まるで情報として役に立たない可能性だってある。けれども、今は少しでも情報が欲しい。これまでと違い、どうも4問目はおかしいのだ。与えられる情報などのシステム周りでの難易度が、これまでの問題とは桁違いに高い。ゆえに、ボツになった特殊ルールだとしても、追加できる情報は追加したかった。
0
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
それは奇妙な町でした
ねこしゃけ日和
ミステリー
売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。
バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。
猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
わたくしのご主人様はヴァンパイアでございます
古池ケロ太
ミステリー
わたくしのご主人様は、ヴァンパイアでございます――。
古城に仕える「わたくし」は、優雅なヴァンパイアのご主人様に忠誠を誓う下僕。訪れる戦士や魔術師、そして最後の訪問者――繰り返される決闘の果てに明かされる“真実”とは。血と主従の物語が今、蠢き出す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる