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第4問 死神と駅の中で【出題編】
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これまで、再現映像となると、それなりの長さがあるものだったし、再現映像というだけあり、分かりやすく作られていたような気がする。けれども、今回だけはまるで別物。リアリティーを追求したのか知らないが、とにかく画質は荒いし、フレームレートが低いのか、監視カメラの映像というよりか、連続写真を見せられているような感覚だ。音声もないし、説明として入ったナレーションも役には立たない。はっきり言ってしまうと、これまでに比べて情報が圧倒的に少なかった。
「藤木、これ以外に映像は――」
「ありません。今回はそちらの映像のみです。その代わり、何度でも見返すことを許しているのです。その辺りのことを察していただけると幸いですねぇ」
言葉を遮るようにして藤木に返されてしまう九十九。今回の材料は画質の荒い監視カメラの映像のみ。再現映像のクオリティーも、方向性を間違えてしまうとこうなってしまうらしい。実に現実主義に則った作り方である。
――この再現映像だけで、果たして犯人が分かるようになっているのか。登場するのは目出し帽ばかり。その目出し帽の容疑者は全部で4人いるとのことだが、犯行が行われた瞬間には、間違いなく5人に増えている。ホームから被害者を突き落とす目出し帽が犯人であることは確実であり、逆説的に考えると、それ以外の目出し帽に犯行は不可能だったことになる。一体、誰が被害者を突き落としたのか。なぜ、監視カメラには5人の目出し帽が映っているタイミングがあるのか。謎は深まるばかり。
「まぁ、もうひとつだけ――解答者のみなさんが希望するのであれば、本来ならばボツにした特殊なルールを適用しても構わないのですがね」
これまでも、満足に情報を与えられてきたとは思っていないが、今回にいたっては明らかに情報が少ない。それらも藤木のさじ加減ひとつというのが面白くはないが、今はどんな情報であっても欲しいところ。九十九が口を開く前に、長谷川が口を開いた。
「そのボツにした特殊ルールってのは? どんな内容なんだ?」
いくら情報が得られるかもしれないといえども、それが九十九達にリスクを及ぼさないものだとは限らない。長谷川くらい慎重に話を進めたほうが、ここはいいのかもしれない。
「大したものではありません。ただ、地味と申し上げますか、番組的には面白くもなんともないものでしたので、ボツにしました。内容的にはですね、お好きな時間帯の音声を再現させていただくというものになります」
「藤木、これ以外に映像は――」
「ありません。今回はそちらの映像のみです。その代わり、何度でも見返すことを許しているのです。その辺りのことを察していただけると幸いですねぇ」
言葉を遮るようにして藤木に返されてしまう九十九。今回の材料は画質の荒い監視カメラの映像のみ。再現映像のクオリティーも、方向性を間違えてしまうとこうなってしまうらしい。実に現実主義に則った作り方である。
――この再現映像だけで、果たして犯人が分かるようになっているのか。登場するのは目出し帽ばかり。その目出し帽の容疑者は全部で4人いるとのことだが、犯行が行われた瞬間には、間違いなく5人に増えている。ホームから被害者を突き落とす目出し帽が犯人であることは確実であり、逆説的に考えると、それ以外の目出し帽に犯行は不可能だったことになる。一体、誰が被害者を突き落としたのか。なぜ、監視カメラには5人の目出し帽が映っているタイミングがあるのか。謎は深まるばかり。
「まぁ、もうひとつだけ――解答者のみなさんが希望するのであれば、本来ならばボツにした特殊なルールを適用しても構わないのですがね」
これまでも、満足に情報を与えられてきたとは思っていないが、今回にいたっては明らかに情報が少ない。それらも藤木のさじ加減ひとつというのが面白くはないが、今はどんな情報であっても欲しいところ。九十九が口を開く前に、長谷川が口を開いた。
「そのボツにした特殊ルールってのは? どんな内容なんだ?」
いくら情報が得られるかもしれないといえども、それが九十九達にリスクを及ぼさないものだとは限らない。長谷川くらい慎重に話を進めたほうが、ここはいいのかもしれない。
「大したものではありません。ただ、地味と申し上げますか、番組的には面白くもなんともないものでしたので、ボツにしました。内容的にはですね、お好きな時間帯の音声を再現させていただくというものになります」
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