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第4問 死神と駅の中で【出題編】

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 1番カメラには、相変わらず目出し帽の人物の姿があった。ただし、1人だけではない。2人に増えていた。駅舎にいた2人が外に出て、外にいた1人が駅舎に入ったのか。それとも駅舎にいた2人のどちらかが外に出たのか。容疑者全員が同じ格好をしているため、誰が誰なのかは分からない。ただ明らかになったのは、4人のうち2人の容疑者が、事件の起きた時間帯には駅の外にいたということだ。

 30秒間というのはあっという間であり、1番カメラはずっと2人の目出し帽を映したまま終わってしまった。ブラックアウトした画面を眺めつつ藤木が進行をする。

「では、続きまして2番のカメラになります」

 2番カメラは駅舎の中を映したものである。駅の見取り図から考えるに、ホームへと向かうためには必ず駅舎の中を通る必要があるだろう。となると、現場へと向かう犯人の姿が映っているかもしれない。モニターには、そんな九十九の考えを嘲笑うかのような映像が映し出されていた。

 ――誰もいない。2番カメラは駅舎の中を映してはいるが、しかし目出し帽の姿はまるでない。それでも、黙って映像を見守る。結局、画面がブラックアウトするまで、誰も駅舎を通過しなかった。当たり前であるが、この時点で駅の外にいた2人は容疑から外れることになる。問題は、誰が誰なのかということであるが、それは前後の映像から推測するしかないだろう。

「はい、3番のカメラです」

 今度は駅のホームが映し出される。その映像には――これまた2人の目出し帽が映っていた。状況から察するに、このうちの1人は、最初からホームで待っていた人物であろう。では、そこから少し離れたところにいる目出し帽は誰なのか。駅舎にいた2人のいずれかなのか。それとも、遅れてきた1番カメラの目出し帽なのか。なんにせよ、1番カメラで動きがなかった以上、3番カメラに映っている2人のうちどちらかが動くはずだ。警戒しながら映像を見つめていた九十九であったが、映像は2人の目出し帽の姿を映したまま終わってしまった。ブラックアウトした画面を見て、九十九は思わず藤木に向かって口を開いた。

「おい、これ――おかしいだろ。被害者が突き落とされたと思われる時間帯。容疑者全員が他のカメラに映ってるじゃねぇか」

 事件が起きた時間帯の映像を見れば、自ずと犯人が分かると思っていたが、これはどうやら妙なことになってきたようだ。藤木はわざとらしく首をすくめる。

「しかし、実際にこれと同じ映像が警察の捜査でも提出されたそうですよ」
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