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第4問 死神と駅の中で【出題編】
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音もないまま、ゆっくりと時を刻む画像。ホームに立っている目出し帽の背後に、全く同じ格好をした人物が忍び寄る。画質は荒いし、音も消えているから、実際にはどうだったか分からない。けれども、全体的な雰囲気から、気づかれまいと神経を尖らせている印象を受けた。突然、BGMが止まったから、なおさら緊張感のようなものが高まったのかもしれない。
その先、何が起きるのかなど、考えずとも明白だった。はるか向こうから、電車がホームに向かって走ってくる。待っていた電車が来たからであろう。ホームにたたずむ目出し帽も電車のほうへと視線をやる。その背後から、今まさにホームへと突き落としてやろうと手を伸ばす目出し帽。目出し帽ばかりでややこしいから、ここは素直に犯人と被害者という呼び分けをすることにする。
電車のほうを見ていた被害者は、きっと何の気もなかったのであろう。何気なく――といった様子で後ろに振り返る。背後には、これから被害者を突き落とそうとせんばかりの犯人の手が迫る。この時点で時すでに遅し。犯人が突き出した両手で押された被害者は、面白いようにバランスを崩す。そして、ホームへと電車が迫る。被害者は体勢を立て直そうと、反対側に体重をかける。けれども、追い討ちであるといわんばかりに、もう一度犯人から背中を押されてホームへと転落してしまった。ほとんど間髪入れずに、電車がホームへと入ってきた。突き落とした本人は画面外へとフェイドアウト。逃走する。
思わず目を逸らしてしまいそうになったが、しかし目を逸らしていい場面ではなかった。音声がないから当たり前なのであるが、電車は音もなく停まる。ただ、どこか急停車だったような気がした。そして、慌てた様子の駅員らしき人物が映り込む。無人駅にも関わらず、それっぽい格好をしているということは、つまりは電車の運転手が飛び降りてきたのであろう。
手伝う意図があったからなのか。それとも野次馬根性なのか。はたまた被害者が死んだのかを、犯人が確かめに戻ったのか。映像の中で3人の目出し帽が集まったところで画面はブラックアウトした。しばらくすると画面が切り替わり、いつものスタジオを映し出す。空席が目立ち始めた解答席に向かって、藤木が言った。
『さぁ、今回は監視カメラによって犯行現場が撮影されている状況でのクイズとなります。果たして、ここから答えを導き出すことができるのか――注目の第4問目と参りましょう』
画面の向こう側だというのに、こちらへと振り返った藤木と目が合ってしまったような気がした小野寺は、なぜか目を逸らしたのであった。
その先、何が起きるのかなど、考えずとも明白だった。はるか向こうから、電車がホームに向かって走ってくる。待っていた電車が来たからであろう。ホームにたたずむ目出し帽も電車のほうへと視線をやる。その背後から、今まさにホームへと突き落としてやろうと手を伸ばす目出し帽。目出し帽ばかりでややこしいから、ここは素直に犯人と被害者という呼び分けをすることにする。
電車のほうを見ていた被害者は、きっと何の気もなかったのであろう。何気なく――といった様子で後ろに振り返る。背後には、これから被害者を突き落とそうとせんばかりの犯人の手が迫る。この時点で時すでに遅し。犯人が突き出した両手で押された被害者は、面白いようにバランスを崩す。そして、ホームへと電車が迫る。被害者は体勢を立て直そうと、反対側に体重をかける。けれども、追い討ちであるといわんばかりに、もう一度犯人から背中を押されてホームへと転落してしまった。ほとんど間髪入れずに、電車がホームへと入ってきた。突き落とした本人は画面外へとフェイドアウト。逃走する。
思わず目を逸らしてしまいそうになったが、しかし目を逸らしていい場面ではなかった。音声がないから当たり前なのであるが、電車は音もなく停まる。ただ、どこか急停車だったような気がした。そして、慌てた様子の駅員らしき人物が映り込む。無人駅にも関わらず、それっぽい格好をしているということは、つまりは電車の運転手が飛び降りてきたのであろう。
手伝う意図があったからなのか。それとも野次馬根性なのか。はたまた被害者が死んだのかを、犯人が確かめに戻ったのか。映像の中で3人の目出し帽が集まったところで画面はブラックアウトした。しばらくすると画面が切り替わり、いつものスタジオを映し出す。空席が目立ち始めた解答席に向かって、藤木が言った。
『さぁ、今回は監視カメラによって犯行現場が撮影されている状況でのクイズとなります。果たして、ここから答えを導き出すことができるのか――注目の第4問目と参りましょう』
画面の向こう側だというのに、こちらへと振り返った藤木と目が合ってしまったような気がした小野寺は、なぜか目を逸らしたのであった。
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