クイズ 誰がやったのでＳＨＯＷ

第４問 死神と駅の中で【出題編】

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　もし、自分があちら側にいたら――想像して、ゾッとする。確かに、自分が現在置かれている立場というのも、確実におかしい状況ではあるが、命を取られたり、疑心暗鬼になったりしないだけマシだ。これがどれだけ続くのか分からないし、環境が変わる可能性だってあるものの、現状ではあちら側よりはるかにマシ。毎日放送される番組を観るだけなのだから。

『亡くなったのは名無しの仮名さん。男性でした』

　駅と思われる写真を背景に、今度はナレーションが流れる。実際の駅を映したものかどうかは不明であるが、ごくごくどこにでもあるような駅である。小さな駅舎があり、その奥にはホームが見えている。無人駅に詳しいわけではないが、無人ということは改札口などもないのであろう。

『名無しさんは駅のホームへと転落、入ってきた電車に轢かれて亡くなりました。ここまでならば、飛び込み事故のように見えますが、しかしそうではなかったことが、駅に設置されていた監視カメラの映像により明らかになります。なんと殺人だったのです』

　電車による人身事故は多く、毎日発生していると言っても過言ではない。つまり、この無人駅に監視カメラなんてものがなければ、もしかして事故として扱われて終わりだったのかもしれない。しかし、どうやら違うらしい。当たり前だ。これでもし単なる人身事故だったのであれば、そもそもクイズになっていないだろう。

　風景がホームと思われる場所に切り替わる。ホームは当たり前のように深く、落ちてしまったら這い上がるのは簡単ではなさそうだ。すかさずナレーションが入る。

『設置されていた監視カメラは４台。そのうちのホームを映した監視カメラが犯行を捉えていました。ホームで電車を待っていた名無しさんの背後から、電車が入ってくるのを見計らって背中を押した人物が映っていたのです。残念ながら背中を押した人物は目出し帽のようなものを被っており、また映像も鮮明ではなかったがために、カメラの映像だけでは犯人を特定することができませんでした』

　今は監視カメラをつけて当たり前の世の中になってきているが、それを設置する側の人間の心理としては、万が一何かがあった時に……程度の考えである場合が多い。ゆえに使用している監視カメラも、そこそこの性能のものを導入している場合が多く、その万が一の時には画像が不鮮明であったりするものだ。もちろん、どれだけハイスペックなものであっても、その性能にはどうしても限度というものがあるだろう。少なくとも、今回の監視カメラは、そこまで性能が良いものではなさそうだ。