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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】
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「視聴者のみなさん。残念なお知らせです。またしても、番組を降板された方が出てしまいました。そう――伊良部さんです」
その切り出しかたには既視感があった。司馬が降板した際、そして数藤が降板した際に、藤木はそのように切り出しつつ現場へと向かった。つまりは、そういうことなのか。しかし、いわば柚木は密室で殺害されたようなものだ。殺害するにしても、どうやって――。
「それでは、これより楽屋のほうへとお邪魔したいと思います。レディーのお部屋になりますから、しっかりとするところはしっかりしておきたいと思います」
藤木はそう言うと、楽屋の扉をノックして「失礼します」と声をかけた。楽屋のロックはいつの間にか解除されていたようで、藤木が手を伸ばすと、あっさり扉が開いた。
「あー、どうやらそこまで苦しまずに降板なされたようです。ほら、カメラも中に入って来てください。ちなみにですね、今回は解答者でもある長谷川さんにカメラマンをお願いしておりまーす」
楽屋の中を見て手を合わせる藤木。九十九の立ち位置から楽屋の中は見えないが、しかし見えるように動こうとは思わなかった。いや、動けなかった。伊良部の変わり果てた姿を見ることは、こちらが何をやっても無駄であるとの引導を渡されるような気がして嫌だったのだ。近くにいた長谷川だって、カメラマンという役目がなければ、そこから動かずにいたに違いない。もっとも、長谷川が動き出してくれたからこそ、九十九もそれにつられるような形で楽屋に近づくことができたのであるが。
「伊良部――」
ほぼ同時に楽屋の中を確認する形になった九十九と長谷川。扉のすぐそばに、仰向けになったまま目を見開いて倒れている柚木の姿があった。こんなことを先に考えてしまうのは不謹慎かもしれないが、目立った外傷などは見当たらない。
「密室のはずだった楽屋。外傷のない犠牲者。果たして犯人はいかにして伊良部さんを降板に追いやったのか――なんて議論が視聴者のみなさんの間で過熱して、勝手にどうのこうのと考察合戦が始まってしまっては困ります。今回はこれまでと毛色も違いますので、簡単にご説明させていただきましょう」
まるで九十九の心を読んだかのごとく――つまり、いかにして柚木は殺害されたのかという疑問が見抜かれてしまったかのごとく、藤木がカメラに向かって饒舌になる。
「実はここ、防火設備というものが標準で設置されておりまして、いざ火事になった際に、ある装置が作動して消火を行うようになっています」
そもそも、ほとんどがコンクリートに囲まれた空間なのだ。まず火事など起こらないとは思うが、無駄にそれに対する設備は整っているらしい。
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「それでは、これより楽屋のほうへとお邪魔したいと思います。レディーのお部屋になりますから、しっかりとするところはしっかりしておきたいと思います」
藤木はそう言うと、楽屋の扉をノックして「失礼します」と声をかけた。楽屋のロックはいつの間にか解除されていたようで、藤木が手を伸ばすと、あっさり扉が開いた。
「あー、どうやらそこまで苦しまずに降板なされたようです。ほら、カメラも中に入って来てください。ちなみにですね、今回は解答者でもある長谷川さんにカメラマンをお願いしておりまーす」
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「伊良部――」
ほぼ同時に楽屋の中を確認する形になった九十九と長谷川。扉のすぐそばに、仰向けになったまま目を見開いて倒れている柚木の姿があった。こんなことを先に考えてしまうのは不謹慎かもしれないが、目立った外傷などは見当たらない。
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「実はここ、防火設備というものが標準で設置されておりまして、いざ火事になった際に、ある装置が作動して消火を行うようになっています」
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