クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

文字の大きさ
上 下
337 / 506
第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】

27

しおりを挟む
「だ、だって――指示通りに動けば、絶対に捕まらないって言ってくれたし、特にお金を取るとか、そういうこともしないって話だったから」

 落ち着いたように見えはするものの、やはり根本的な部分ではパニックを起こし続けている様子の柚木。何から話していいのか分からないようで、こちらから話を聞き出してやる必要があるようだ。

「それは――刑事から話を持ちかけられたということか?」

 九十九の問いに、柚木は大きく頷いた。混乱の中にある彼女にとって、頷くという行為は、もっとも素直に自分の気持ちを表現することのできるツールだったのかもしれない。

 刑事……と言われると、思い当たる節があった。しかしながら、柚木の言っている刑事と、これまでの情報の中から九十九が得た刑事というワードでは、やや意味合いが異なってくるような気がする。

「そいつは、悪徳刑事として有名な奴か?」

 あえてダイレクトに踏み込んでみる。すると、柚木は大きく首を横に振った。

「さぁ――分かりません。大体、どこの誰なのかも知らないし」

 九十九が情報として知っている刑事は、金さえあれば事件を隠蔽してくれるという悪徳刑事だ。情報筋は数藤であるが、どうやらこの刑事と、柚木の言う刑事はまるで性質が異なるらしい。

「ちょっと詳しく、これまでの経緯を話してくれないか?」

 スタジオにロックがかかる時間については、おそらくこれまでと変わらないだろう。しかしながら、今回は全員がスタジオへと残り、柚木のことを取り囲んでいた。

 柚木の話を聞き終えると、簡単に頭の中でまとめる九十九。柚木はかねてより同僚の【甲】に恨みを抱いていた。なんでも、結婚直前まで行った彼氏を寝取られ、それが原因で結婚の話も破談。それなのに悪びれもせず普通に接してくる【甲】のことがどうしても許せなかったとのこと。その恨みは次第と大きくなり、殺意へと変わる。しかし、それが殺意に変わったところで、すぐにどうこうできるわけではない。彼女にだって理性というものはあるし、人を殺したら警察に捕まることも知っている。結局のところ、自分の中で生まれた殺意を自分の中で殺すと言う行為を続けていた柚木。学校を辞めるという手段もあったのだが、全てにおいて被害者である自分が、学校を辞めなければならないと言うのは納得行かなかったらしい。そして、惰性のように日々の生活を繰り返している時、彼女あてに一通のメールが届いたそうだ。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

それは奇妙な町でした

ねこしゃけ日和
ミステリー
 売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。  バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。  猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。

わたくしのご主人様はヴァンパイアでございます

古池ケロ太
ミステリー
 わたくしのご主人様は、ヴァンパイアでございます――。  古城に仕える「わたくし」は、優雅なヴァンパイアのご主人様に忠誠を誓う下僕。訪れる戦士や魔術師、そして最後の訪問者――繰り返される決闘の果てに明かされる“真実”とは。血と主従の物語が今、蠢き出す。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

処理中です...